レベル151 『モンスターカード!』で、ゲットしたモンスターが悪の皇帝になりました。
なにやら、どっか遠くの国でオレ達のことが噂されているとは露知らず、オレは今、目の前に浮かび上がったカードをひたすら凝視する。
ラピスのカードが目の前に浮かび上がったかと思うと、突然、輝き始めた。どうやら40レベルになった模様。
そしてゆっくりと二つに分離する。
その一つは、
『アイリスブラッドエンペラー』
と書かれている。
豪勢な虹色のドレスに、立派な王冠をかぶった、いかにも女王様って感じのグラフィックでござる。
ラピスのボーナスポイントは知能にガン振りだ。
だからだろうか?
なにやら危険な匂いがプンプンする。
虹色の血族の王様って、いったいどこに国を作る気だ?
そしてもう一つは、
『スーパースター』
スーパースタアですってよ奥さん。
なんでだよ?
どうしてバニーガールがスーパースターになるの?
まあいいけどさ。
従来のレオタードにタキシードの様な服装が追加され、ウサ耳のシルクハットを被っている。
ステッキも豪勢になりキラキラ輝いている。
この輝きはカシュアの聖剣に近いな? 聖母スキルで、聖剣と同様の効果があるのだろうか?
ステッキ型の聖剣……斬新だな!
これはアレか? 上位職って奴か?
この二つのどちらかを選べと?
オレは二つのカードの裏面を見てみる。
アイリスブラッドエンペラーの方は、やはり知能型のようだ。
知能のゲージが突出して長い。
その分、その他のゲージは元と大して変わりはない。
むしろスピードは減っているぐらいだ。
そして追加スキルは『命名』。
なんだろうなコレ? 名前を付けるのか? 良く分からん。
対してスーパースターはスピード特化型だな。
知能ゲージも伸びているが、スピードにおいては元の1.5倍ぐらいある。
元々素早かったラピスが、さらに磨きがかかるか。
もう目で追えないんじゃないかなあ。
そして追加スキルは『テンカウント』。
こっちはなんとなく想像がつくぞ。アレかな? 10秒間、時を止めるとか?
あと、どちらにもモンスターカード+2とついている。
まあ40レベルでカードは増えるとは思っていた。
だが! なんと!
モンスターCカード+1も生えている!
40レベルでは、通常のカードとクリスタルカードが同時に貰えるらしい。
よっ、ふとっぱら!
オレはクリスタルカードを呼び出して2枚のカードを見てみる。
アイリスブラッドエンペラーは、
『ジャイアントキングラビット』
スーパースターは、
『スターラビット』
に変わった。
なるほど、上位職だな。
ウサギから進化させるとこうなる訳だ。
まあ進化って、カードゲームにとっては定番だよね!
「お前、何やってんだ、こんな所で」
うぉっ! 急に話しかけられた所為で思わずカードを取っちまった。
しかもエンペラーの方を。
やべえ、コレ地雷の方じゃね?
ふと後ろを振り返ると、ハーモアが教室の窓から顔を出している。
そう本日オレは、ハーモア、レリン、サウが通っている学校へ、こっそりと覗きに来ていたのだった。
「なぜオレの居場所が!?」
「そりゃ~、アレだけキラキラさせてりゃ誰でも気づくだろ?」
そんなに光ってたか? まあ光ってたよな。
相変わらずこのカード、居場所バレバレだなあ。
「ガウガウ、ノゾキハ、ハンザイダ! ミナノモノカカレ!」
なんで居るのお前?
なにやらロゥリが、子供達を引き連れて校庭から駆けてくる。
「あ~、なんか稽古つけてるらしいかな?」
レリンがちょっと困ったような顔で言う。
「コラお前、皆に迷惑かけてんじゃないぞ」
「カケテナイ!」
ふむふむ、いずれ邪神を倒す為に戦士を鍛えている?
どこに居るんだよその邪神?
なんだその指は? そんな指などこうしてくれる!
「ガウガウ!」
「いででで!」
「相変わらず仲がいいよねー」
「「ヨクナイ!」」
◇◆◇◆◇◆◇◆
その夜。
「進化……ですか……」
ラピスがなにやら、ボロボロになって帰って来た。
どうやら戦闘中にクラスチェンジしたらしく、急に戦闘に必要な能力が低くなったのでボロボロにやられてきたらしい。
「うむ、なんというか……すまなかった」
「いえ、いいんですよ。なかなか乙な感じに進化できたようですし」
そう言って、自分のカードをクリスタルカードで見やる。
「スーパースターですか……エンペラーが知能特化の特殊進化に対し、こっちは元のパラメータを伸ばした正統派進化ですね」
「だがアレだな。そこまでボロボロにやられるってことは、今後はダンディのように後方にまわるのか? そうするとレベルの上がりも悪くなるぞ」
「そこが悩みどころですねえ……」
一度クリスタルカードでスーパースターにして、レベルをあげてからエンペラーに戻すという手もある。
が、そうなると益々エンペラーを選んだ意味がなくなるな。
クリスタルカード2枚消費も重い。
「まあ、今のままでも戦闘出来ない訳ではありませんし、新スキル、命名も試して見たいです」
どんなスキルなんだソレ?
「さあ……? 名前からじゃまったく想像がつきませんね。使ってみて試して見るしか……そういえば、お坊ちゃまはスーパースター推しなんですよね? やはり私が戦闘出来た方がいいですか?」
いや、どうかな? エンペラーって字面がどっか地雷じみてただけだし。
ただまあ……スーパースターの方が露出が……
「やだ~、そんな理由で選ぼうとしたんですか~」
ラピスが軽蔑したような視線を投げかけてくる。
いや、そんな事無いのですよ! 誓って! たぶん!
ほら、迷ったらエロい方を選べば間違いないって言うじゃないですか。えっ、言わない? ソウデスネ。
しかしその数日後、そんな事を言って居られない事態が発生するのだった。
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