レベル101 大温泉街マウンテンパラダイス

 と、いうことで、やって来ました温泉街!

 なんでもここ世界一の温泉街! 結構な高山に在るにも係わらず、大層な大都市を形成しております!

 山々を切り開いて平地を作り、あちこちから温泉の煙が立つ。

 平地と平地の間には、つり橋のようなものがいくつも掛かり、幻想的な雰囲気を醸し出している。

 まさしくファンタジーって感じな場所であります!


 本日はそんな街々を見下ろす人気のスポットに来ております。

 いや~、いい眺めだ! 来て良かったな。


「ほんとだね!」

「………………」


 ふと隣を見ると、まっぱのカシュアが居る。


「なんでお前、ここに居るんだ?」

「ボクだって温泉入りたいよ!」


 女湯行け!


 ほら見てみろ、こっち見てブッて皆さん吹き出して居るだろ?

 ここ混浴じゃないんだからその姿はだいぶまずい。

 あと、せめてタオル巻け。


「見捨てないでよ! 女湯に入る度胸なんてボクには無いよ!」


 やめろ! だからと言ってオレを女湯に連れ込もうとするな!

 お前と違って、オレが行ったら確実に犯罪になるんだから!

 オレがカシュアの手を振り切って、女湯との垣根を見たその時だった。なにやら、ちっちゃなおててが見える。

 そこからひょっこりと顔を出すロリドラゴン。


「ガウガウ、ミツケタ」


 そう言って壁を飛び越えてくる。

 ドボンって温泉に飛び込むロリドラゴン。

 こらこら、周りの人に迷惑だろ?


 えっ、何? 温度調整してやろうって? やめろ! お前の調整は人が焼け死ぬんだぞ!


「おい、こんな人が多い所に置いていくなよっ!」


 そう言いながらもう一匹の幼女がドボン。


「ガウガウ、クッツクナ!」

「だってよぉ、人がいっぱいで怖いんだよ。あっ、」


 オレを目にしたその幼女、ハーモア。目を輝かしてオレの方へ走って来て背中に隠れる。


「いだ、イダダ、やめろ、爪を立てるな」

「お前がこんなとこ連れて来るから悪いんだぞ!」

「おいラピス! ちゃんとこの二人の面倒見ろよ!」


 遠くからえ~って声が聞こえてくる。

 え~言うな。

 と、ピョンと壁を越えてくる、美女が約一名。


「ブッ!」

「ブハッ!」


 おまっ、ちょっとは隠せよ。おっさん連中が鼻血吹いてるぞ。

 そのまま、素っ裸の美女は二匹の幼女を担いで、またもや壁を飛び越えて行く。

 おいちょっと待て、どうせならこっちのプリンセス(笑)も連れてってくれ。


 そこまで面倒見切れません。って声が遠くから聞こえてくる。

 仕方ない、とりあえずコイツ、ここから追い出そう。

 と、入り口を見た瞬間だった。


 ガラガラッと戸を開けて入ってくる美女二人。

 えっ、ここ何時から混浴になったの?

 オレが入った時は男ってデカデカと書かれていたはずなんだが。


「待たせたなクイーズ! 私が特別にお前の背中を流してやろう!」


 …………姫様、皆さんに見られているのですがよろしいのでしょうか?

 そこに居たのは本物のプリンセル、エルメラダス姫様。

 おいカシュア、おめえ、言ったのか?

 プリンセス(笑)は視線を逸らせて、言ったような、言わなかったような。と呟く。


「平民になど、いくら見られようか気にはならん! まあ、触れれば殺すがな!」


 ハッハッハと笑う。笑いごっちゃねえですよ。

 隣の虹色の髪をした美女も、自分、裸がスタンダートですから。と言っている。

 うん、服を来たグリフォンは見た事ないね!


 ていうか、どうやって来たの? 姫様クラスが来るなら外交問題だよね?

 えっ、カイザーの超加速を使えばどこへでも一瞬だって?

 ……姫様それ、密入国って言うんですよ。


 と、バシャン、バタバタバタ、ガラガラ。という音が遠くから聞こえる。

 暫くして、


「ハァッ、ハァッ…………クイーズの背中は私が流す」


 息を切らしたアポロさんが。

 さすがにこちらはタオルを巻いているが。


「…………姫様に背中を流させるなんて恐れ多い。平民の私が代わりに行う」

「ほほう、この私に挑戦すると言うのか?」


 そう言ったかと思うと、ひょいっとアポロのタオルを取る姫様。

 キャッて言って座り込むアポロ。


「ハッハッハ、出来るものならやって見るのだな!」


 真っ赤な顔で動けなくなるアポロ。

 やはり駆け引きでは姫様が何枚も上手だ。

 ジト目で姫様を睨むアポロ。


 だがここまで来たアポロ、挫けない。

 大事な所だけ隠してオレの背中に回る。周りの人からは見えない位置だ。


「…………タオルを貸して」

「お、おおう」


 いいのかな、いいのだろうか。いや、良くない! なにやら壁の向こうから見えないプレッシャーが迫ってきている!

 と、またしても何名かの女性が入って来る。

 しかし、その女性陣、みんな服を着ている。


「お客さん、うちはそういうサービスはやってないんでさあ」

「他のお客様の迷惑になるようでしたら、申し訳ありませんが出て行ってくれませんか?」


 なんと、お店の女将さん達だった。

 うん、そうだよね。その通りだよね。

 オラ、女性陣! さっさと女湯行け!

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