レベル97 『モンスターカード!』で、ゲットしてみたらまたもやロリっ娘に

「お坊ちゃま! 伏せてください!」


 このボス猫、どうしてくれようか? とりあえず、カードにしてじっくり調教していくか。

 と、モンスターカードを取り出した瞬間、突如ラピスがオレに覆い被さって来た!

 そして仰向けになったオレが見たものは――――空を埋め付くす槍の大群であった!


「ニース!」

「分かっておる!」


 その槍とオレ達の間に黒い影が遮る。


「ぐおぉおお! 全部竜種特効付きだと!?」


 ニースがその巨大な体を使って槍を受け止める。

 竜王の鱗を持ってすれば受け止めることも容易いと思われたが、それらの槍はニースの背中に深々と突き刺さっていく。


「これはどういうことだ、獅子王よ!」

「我は何も知らん! それにここは、我が嫁と子が守っていたはず……」

「それはコイツらの事かな」


 ドサリと何かがオレ達の方へ投げ込まれる。

 それは血にまみれた2頭のライオン。

 ふと辺りを見回せば景色が一変している。

 それまで木々しかなかったその風景に、槍を構えた無数の人型のトカゲが追加されている。

 そして目の前には巨大なドラゴンが一匹、真っ赤な瞳でこっちを見ていた。


「ウガァアアアアア!」


 そのドラゴンに向かって、鬣を逆立てて駆け出す白銀の獅子王。


「むっ、いかん!」


 慌ててニースが止めようとするがその手は届かない。

 ドラゴンの周りの人型トカゲが槍を構える。

 だが、そのドラゴンがそれを制止する。


 獅子王の拳がドラゴンの鱗をとらえる。

 しかし、ダメージが入った様子がまったく見当たらない。

 そのまま獅子王はドラゴンをよじ登り、首に食らい付く。


「哀れなものだ、かつては、古き竜王すら恐れたかの獅子が、今や子猫と同じレベルだとはな」

「竜王、ハイフレム……」

「知っている奴なのか?」


 ニースの話では、大陸の北方を根城としている竜王で、若き野望に燃えるドラゴン。

 各地の竜王を尋ねては、竜の世界の再建を企てていると言う。

 今でこそ大地は人が支配をしているが、数千年前は竜こそが大地の支配者だったのだ。


 それをこの若き竜王は再現しようとしている。


「竜王ニースよ、これが最後通告だ。我に従え、断るならばお前の命はここで終わる」

「誰にものを言っておる。お前ごときが、私を従えられる訳がないであろう」

「クックック、強がりはよせ、今やお前は力を失い、ただ風化していくだけの身であろう」


 さすがに人の国に篭られていれば我も手を出せぬ。

 それが、よもやこのような我の目と鼻の先に現れようとはな。

 かつて竜王の中の竜王であった、お前を従えるか打ち倒すかすれば、他の竜王も我の話に耳を傾けるだろう。


 そう言いながら首もとの獅子王を掴み投げ飛ばす。

 何度か地面をバウンドしながら戻ってくる獅子王。


「申し訳ありません。まったく気配を察知できていませんでした」


 ラピスが落ち込んだ表情でそう言ってくる。

 しかたない、向こうは現役の竜王、生物の頂点に立つと言われている存在だ。

 そいつが本気を出せば、オレ達を出し抜くなんて容易い事なのだろう。


 そんな事よりも、


「おいニース、あいつなんか勘違いしているぞ」

「そうでありますな」


 おいおい、どこのどいつが弱っているって?

 なま言ってんじゃねえぞ!

 お前の力を見せてやれ! ニース!


 第二陣の槍がオレ達に向かって放たれる。

 それをまた、己の体で受け止めるニース。


「まるでハリネズミのようだな! 年を取り過ぎて避けることもままならんか!?」


 アイツ、言いたい放題だぞ。

 いいのかニース。

 ん、自分が居なくなればオレ達が槍の攻撃を受ける事になる。


 大丈夫だ! オレ達にはコレがある!


『出でよ! 鉱石M!』


 呼び出した鉱石を傘の様に広げる。

 ついでにおめえに刺さってる槍も抜いてやるぜ。


『戻れ! 竜王ニース!』そして『出でよ! 竜王ニース!』


 再召還する事により刺さっていた槍が全部抜け落ちる。


「なに!?」


 それを見て驚愕の表情を見せる竜王ハイフレム。


「お坊ちゃま、全モンスターに召喚の準備を伝えました! いつでも行けます!」


 こんなもんで驚いてちゃ困るぞ。

 まだまだオレの手札はこんなもんじゃねえぜ!


『出でよ! オール・モンスターズ!』


 オレの周りに現れる7人の精鋭達。

 ラピスが駆ける! まずは雑魚の掃討だ!

 カシュアはオレの元で、飛んでくる槍を次々と叩き落とす。


 スラミィはオレのメンバーとしては初参戦。

 24レベルになったスラミィは、擬態にさらに磨きが掛かっている。

 ダンディの肩に乗ったスラミィがスパスパとモンスターの首を落として行く。


 ダンディが趣味の悪い防具と片手剣でモンスターを屠って行く。

 レベルは1と低いが、ラピスを翻弄したその剣技は今尚健在だ。

 グランドピアノのセレナーデさんは戦うのは始めてとの事だったが、レベルは13、そこそこの力は在る模様。

 細い、糸のような物を作りだし、それでモンスターを細切れにする。


 姫様の騎獣であるグリフォンのカイザーは空を自由に飛びまわり、モンスターを急襲する。

 風圧無効と超加速のスキルで影すら踏ませない。

 新顔のアクアは後方から水を飛ばし、他の皆をサポートしている。

 ちょっと戦力になっているとは言いがたいけど、まあこれはこれで。マスコット役、みたいな?


 そしてドラゴンナイトのロゥリは、竜王ニースと共に敵の総大将へ攻撃をしかけるのであった。


「なっ、なんだこの者達は! このような伏兵をどこに用意していたのだ!」

「ハイフレムよ、お前の敗因は私しか見ていなかった事だ。お前の本当の敵は私ではない」


 くっ、こんな雑魚をいくら呼び寄せたところで。と言う台詞が終わらぬうちに、ロゥリに指ごと爪を飛ばされるハイフレム。


「それに、私の跡を継ぐというのならそれはお前ではない、そう、そこの小さな若きドラゴンである」



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に、なるのは次回☆

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