レベル96 ☆

 ラピスがカードを広げる。


『ラピス・オブ・アイリスブラッド』

 ☆7・レベル34

 スキル:超繁殖→聖母、カード統率+

 備考:モンスターカード+1


『ドラゴンナイト・ロゥリ』

 ☆10・レベル23

 スキル:重量軽減、擬態+

 備考:竜種特効、モンスターカード+1


『メタルスライム・スラミィ』所持者・アスカ

 ☆2・レベル23

 スキル:擬態+

 備考:モンスターカード+1


『プリンセスナイト・カシュア』

 ☆7・レベル26

 スキル:未来予見+、聖剣の担い手

 備考:天敵・オーク、アンデッド特効、モンスターカード+1


『マンドラゴラ・ギター』

 ☆7・レベル13

 スキル:オート演奏


『骸骨王・ダンディ』2枚使用

 ☆8・レベル1

 スキル:天啓(使用不可)


『お料理セット』

 ☆4・レベル8

 スキル:オート料理


『鉱石M』

 ☆1・レベル14

 スキル:擬態


『グランドピアノ・セレナーデ』所持者・カユサル

 ☆9・レベル13

 スキル:擬態


『グリフォン・アイリスブラッド・カイザー』所持者・エルメラダス

 ☆8・レベル4

 スキル:風圧無効、超加速、擬態+


『竜王・ニース』

 ☆10・レベル1

 スキル:聖剣の担い手、竜化、輪廻転生

 備考:全属性特効(小)


『ウィンディーネ・アクア』所持者・アポロ

 ☆1・レベル10

 スキル:水系統強化


 合計レベルは170。総カード数は14枚。未使用は1。

 このうち、スラミィ・セレナーデ・カイザー・アクアについては貸し出し中なので予想である。


「実はですね、竜王ニースを通して、自ずからお坊ちゃまのカードの一員に加えてほしいというモンスターが現れて居ます」

「ほうほう」


 戦力としては問題ないのですが……少々、性格に難がありまして。なんて言う。

 とりあえず会うだけあってみるか?

 と、竜王に乗って北方の大地へ向かったのだが、


「憎っくき人間を滅ぼす為! そなたの力を借りたいっ!」


 なんて事を言っていらっしゃる。

 ……少々どころじゃないぞコレ?

 なんでこんなの紹介してくるの?


「オレも人間なんですが?」

「最後に主の喉笛も噛み切ってくれる!」


 なんでそれで協力して貰えると思っているんだろうか?

 そこに居たのは、9本の尻尾が生えている猫又であった。


「ちっっがっーーーう! 我の何処を見れば猫と勘違いするのだ!」

「ホレホレ」


 オレはドラスレの先にポンポンを付けてフリフリする。

 思わずハシッと両手で挟む。


「「………………」」

「何さらすんじゃっーー! ワレっーーー!」


 巨大な口を開けて襲い掛かろうとする猫又。

 しかしソレは、竜王の前足によって押さえつけられしまう。

 びっくりしたじゃないか? ほんとに大丈夫なの? 命の安全は保障してくれるって言うから来たんだよ?


 猫は猫でも、立派な鬣、鋭い牙、巨大な体躯。そう、ライオンの姿をしたボス猫であった。


「ここ北の国では白銀の獅子王と呼ばれ、人間はもちろんの事、モンスター達にさえ恐れられている存在らしいですよ」

「なんでこんな危険なモノ紹介するの?」

「コヤツとは古い付き合いでな。こう見えても私と同じ神獣と呼ばれて恐れられておる」


 竜王に連れてこられた極寒の地、この北国で崇められている、人からも、同じモンスターからも恐れられている、荒ぶる百獣の王。


「それほど凄いモンスターなら、オレの力なんて必要ないのでは?」

「どんなに強力なモンスターであろうとも、寄る年波には勝てない。寿命が……近づいておるのだよ」

「仮にゲットしたとしても、オレの寿命が終われば同じ事だぞ」


 ん、なんか竜王とラピスが顔を見合わせて意味深な視線を交わしている。

 おまえら何か企んでやしないだろうな?


「ハッ、どのみち我はもう数年も持たぬ身! 少しでも多くの人を屠るため! 力が必要なのだ!」


 竜王の前足に押さえつけられながらバタバタと暴れている猫又。

 随分元気そうだが、病気か何かか?


「年をとってすっかり力を無くしておる。人間に比べれば元気に見えるだろうが、コヤツ、全盛期は私と互角の戦いをしたほどだぞ」


 ふむ、竜王並か……ゲットできたら大層な戦力になるだろうが……


「え~と、人間を襲わないって約束できるなら力をかしても良いけど?」

「バカを言うな! 意味が無いであろう」


 じゃあ交渉は決裂で。


「まっ、待て、そうだな、1年、いや、10年、その間、人を襲わないと約束しよう」

「オレがその気なら、11年以降はカードから出さない。という事も出来ますが?」

「なっ、なに……!?」


 竜王に踏みつけられたままう~ん、う~んと唸る猫又。

 悪さをするモンスターを放置は出来ないからな。

 むしろ、オレのモンスターが悪さをすれば、それは全部、オレの所為って事にもなるし。


 所でどうしてこのお方、こんなに人間を憎んでいるのでしょうか?

 えっ、妻と子を人間に殺された?

 その昔、とある英雄に仕えていたのだが、欲深い人間共に、その英雄共々一家惨殺されそうになったそうな。


「実はそれには私も係わっておってな。コイツには負い目も在る訳だ」


 襲撃した人間の中に、この竜王ニースの加護を持った奴が居たそうだ。

 そいつが居なければ英雄を倒すことは適わなかったろうが、そいつもまた騙されていたそうで、事が終わった後、始末されたそうだ。


「人間ほど欲深い存在はおらぬ! この地上から一掃してやらねばならぬ!」


 メラメラと燃える瞳でオレを睨み付けてくる。


「そうやって全てを憎み、全てを拒み、その結果、今のように追い詰められておる」

「どういう意味だ?」


 オレの力を欲したのはただ生きながらえたいだけでは無い。

 周りの全てを敵として戦い、数々の存在を屠ってきた。

 気が付けば、白銀の王を憎み狙う者は数知れず。

 その憎しみは白銀の王に留まらす、その子、妻にまで向けられ……


「ちょっと待てや。奥さんとお子さんは亡くなったんじゃないのか?」

「ふんっ、ライオンの群れは一夫多妻制だ!」


 ハーレムかよ! 同情する気が急に失せたわ!

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