レベル90 『モンスターカード!』で、ゲットしてみたら水商売なお方に

「随分モンスターが入り込んでいますね」

「聖皇国の人達が来るまでに何とか出来るか?」


 本日、オレ達はまたしても魔都サンムーンに出かけている居る所だ。

 と言っても、今回はオレ達だけでなく、国の兵士や建築家、土木工事の人達と一緒にだ。


「永らくダンジョン化していたおかげで、街の構造物はさほど腐食していないようだな」

「建物は駄目でも、下水道やらが再利用出来るなら、再建にさほど時間はかからないかも知れませんぜ」


 アンデッドは、もうほとんど居なくなったのだが、代わりに普通のモンスターが街に入り込んでいる。

 オレの仕事は、そういったモンスターを追い出す係りだ。

 ついでにいいのが居たらゲットしようとも思っている。

 合計レベル140でカードが増えたからな!


「今回は私も頑張りますよ! このままだと追いつかれかねませんしね!」


 ラピスが張り切っている。

 よし、オレも張り切って投げるぞ!

 えっ、なにヲだって? 決まっているじゃないか。鉱石M。

 投げてぶつければ手付けになるようで、レベルがあがる。

 今現在7レベルなので今回ので10レベルを目指す予定。


 せめてなんかスキル増えないかな。ああ、どうせ擬態なんだろうけどな!


 そして10レベルになった鉱物M、期待を裏切らないスキル・擬態の文字が。

 やっぱりかあ……今度はどんな女性になるんだろな?

 いや、ここは意表を付いてメタル型のモンスターとか!? ハッ、もしかして戦闘用ロボットになったり!


 ワクワクして待つこと数十分、まったく反応がありません。

 あれ? 擬態しないの?

 もしかして、ぶん投げすぎてへそを曲げているとか?


「お坊ちゃま、私思うんですが、意思の無い存在に、擬態しろといって、出来るものなのでしょうか?」


 あっ、なるほど!

 じゃあこの擬態なんなんだよぉおおおお!

 どうすんのよコレ? しょせんは石は石でしかないということか……


 諦めて鉱石Mを手にした、その時だった!


 突然光りだす鉱石M、そして見る見るうちに――――戦闘用ロボットへと変化するのだった!

 おおっ、おおおっ、コレは!? そうか擬態! 本人が出来ないなら、周りの人が指示すれば良いのか!

 見てみろラピス! 今ココに、異世界に立つ戦闘用ロボットが誕生したぞ!


「…………まあ、おもちゃですけどね」


 うん、ロボットはロボットでも、30センチぐらいのミニチュアサイズ。しかも動くそぶりは無い。

 ラピスがそのロボットを手に取る。

 そしてスキル・擬態で色々な物へ変化させている。


 ん、なんかラピスの顔つきが変わってきたぞ?


「お坊ちゃま、これは至急+を付ける必要が在ります」

「どうした急に」

「そして今後、ボーナスポイントは全て、防御に振ってください」


 どうしたそんな怖い顔して。

 ふむふむ、どんな形にも出来る? まあ、ロボットになるぐらいだしな。

 なになに、金型? そこに溶けた鉄を流し込む? どんな精巧な物もそうすれば……作れる!?


「しかもですね」


 ラピスが変形させた鉱石Mを手にする。

 それは……ピストルを形どっていた。


「サヤラ、あなたが最初に作った鉄の弾丸を頂けますか?」

「あっ、はい」


 そのピストルに弾を込めるラピス。

 そしてそれを構える。

 バンと言う音と共に弾け飛ぶ木片。


「これが、面積を無視できるとしたら……お分かりですよね?」

「とっとっと、トンでもない物が出来る!?」


 素材が均一物に限るが……待てよ、別の素材もゲットして擬態を付ければ……

 二つの素材を混ぜ合わせて擬態……!? 出来るかも!


「なるほど、それはいい考えですね……と、なるとどの素材がいいか……」

「水……とかどうでしょうか? 硬くもなり、柔らかくもなる。液体から固体まで自由自在。そしてその強度もそのカードなら」


 ピストルを見て何かを感づいたサヤラが話しに入ってくる。


「いいかも知れませんね……水ならどこにでもあるし何時でもゲット出来ます。……レベル上げるのが苦労しそうですが」


 よし! さっそくゲットしてみようじゃないか! なあに、カードならもうすぐ合計レベル160でもう一枚増える!

 オレは早速近くに在る小川に向かう。

 だが焦っては駄目だ! そのまま小川に向けてピカーッてしたら、お魚さんをゲットしてしまう事請け合い。


 フッフッフ、オレだって学習するのだよ!


 アポロの魔法で水を浮かしてもらう。

 背後よし、前方よし、これなら紛れて別の物をゲットする心配は無い!

 いくぞっ!


『モンスターカード!』


 モンスターカードの光に照らされてキラキラと輝く水の塊。

 それはまるで水晶のように綺麗に映る。

 徐々に姿を消していく水球。最後には蒸発したかのように消えてしまう。

 そうして光の奔流が集まってくるモンスターカード。


 その光が収まった後に映っていたものは――――ウォーター、じゃない? う、う、ウィンディーネ?


 ウしかあってないぞ! というかなぜモンスター!? 素材じゃないの?

 あっ、水って……生命に溢れているよな。ほらバクテリアとか菌とか。

 メタルにも含まれて居ようが、その差は天と地程も違う。

 という事で、モンスターになりました、この水。



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お水といったらコレですよね☆

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