レベル84
とたん殺到する皇国の神殿騎士達。
「あほかお前は! 空気読まないどころか、なんて事しでかすんだ!」
「ちっ、違うよ! ボクは唯……あれ? なんかヤバくね?」
「ヤバイに決まってるだろ! って……なんだありゃ?」
カシュアの指差すほう、陛下が座っていた王座のその上、なにやら黒い霧のようなものが渦巻いている。
「なにやったのお前?」
「なんかね? 邪悪なね? 感じがね? したような気がしたんでね?」
「だからと言って、せめて一言あってもいいんじゃないか?」
カシュアの話では、聖剣を抜いた瞬間、皇帝陛下の背後に邪悪な気配を感じたそうな。
そこで、サンムーンでやったのと同じように聖剣で聖なる風を起こしたとの事。
その黒い霧は徐々に人の顔のような姿を形取る。
「お父様!」
階段から滑り落ちた陛下を抱きしめ、引き摺りながら後ずさるユーオリ様。
神殿騎士達も唖然としてそれを見やる。
「何をしているのです! あの禍々しき塊を討伐しなさい!」
その騎士達に向かってユーオリ様が叫ぶ。
慌てた騎士達は槍をその塊に突き立てる。
が、
「グハッ!」
霧から生えた触手の様な物に弾き飛ばされる。
「カシュア!」
「任せてくれたまえ!」
ユーオリ様と皇帝陛下に迫った触手の前に立ちふさがるカシュア。
かじろうてその攻撃を受け止める。
そして触手に一刀、返す刀で本体へ向かって斬り上げる。
その刀からは地面を這う光のウェーブが解き放たれる。
「グォオオォ・・オノレ……忌々しきハ聖剣ヨ……」
その衝撃波を食らい真っ二つになりながら何かを喋る黒き霧。
「お父様、しっかりしてください!」
「カシュア、皇帝陛下に回復魔法を! ラピス、ロゥリ、奴を頼む!」
「ガウガウッ!」
ラピスとロゥリが触手を掻い潜りながら攻撃を加える。
しかし、
「駄目です! どうやら聖剣でなければダメージにならない模様」
「ガウッ!? ガガガ!」
ラピスの攻撃は空を斬り、ロリドラゴンの炎も突き抜けている。
「カシュア、行けるか?」
「ちょっと待って! こっちの陛下の方、まだ黒い霧が纏わり付いてて……」
カシュアがなにやら聖剣で陛下を扇いでいる。
と、王座の黒い霧が後方に下がる。
「聖剣ガここに在ルという事ハ……竜の間ハ……イマシカナイナァ」
そう呟いたかと思うと、急速に後方に向かって動き出した。
「ハッ!? 神獣様に取り憑く気では? そんな事になればこの国はお仕舞いです! 貴方達、何があっても阻止しなさい!」
ユーオリ様が騎士達に向かってそう叫ぶ。
騎士達は一斉に黒霧が消えた後方の扉に走って行く。
「カシュアそっちはどうだ?」
「もうすぐで全部を祓えるよ!」
「ならばそっちは頼む、オレ達もあの霧を追う。終わり次第来てくれ!」
「分かったよ!」
オレはカユサルとセレナーデに、エクサリーと陛下達の護衛を頼む。
「しかし師匠!」
「あの影は人を操る。たぶんな、そんな気がする。だからここから先はオレ達だけで行く。エクサリーを頼む!」
「くっ、分かりました! こちらはお任せください!」
オレはラピスとロゥリを連れて王座の後方の扉に入って行く。
「お坊ちゃま、緊急事態です。ダンディを召喚しておいてください」
「分かった!」
『出でよ! 骸骨王・ダンディ!』
呼び出したダンディにオレは状況を説明する。
さすがのダンディもこれは予想外らしく、珍しく動揺している。
「ありえぬ……訳でもないのか……何せあれから数百年、あ奴の力も弱っておるという事か」
そして細い一本の通路を通った先、その先には、花が咲き誇るドーム上の庭園がそこにあった。
しかし、やはり奴は人を操るか……
そのオレ達を待ちうけた者、それは先に来ていた神殿騎士団であった。
後方の黒い霧から触手が伸びて、騎士達の背中に憑き刺さっている。
騎士達は訪れたオレ達に向かって槍を構える。
「ナゼダ、なぜ聖剣はここに在ル? あの剣はニセモノ……なのカ?」
「然り、然り、向こうもこちらも本物。世界に聖剣が一本であると誰が決めたかね?」
「ナン……だ……ト……!?」
ラピスがダンディにお坊ちゃまの事を頼みます。と言って駆け出す。
騎士達の攻撃を掻い潜りながら、背中に生えている触手を切り離そうとする。
しかし、ラピスの持っている武器では霧を素通りしてしまう。
「やはり無理ですか……」
「ガゥッ! テゴタエ、ナイ!」
『戻れ! ドラゴンナイト!』
オレは一旦ロゥリをカードに戻す。
そして再召喚。
「ロゥリ、その剣を使え。そいつは聖剣に勝るとも劣らない名剣だ」
「ウム!」
再召喚されたエロいロゥリがドラゴンスレイヤーを構える。
「ムダダ、聖剣以外デ、ワレニ・ギィヤァアアア!」
ロゥリが黒き霧に斬り付ける。そしたらその黒い霧から緑の血がドバドバと。
「ナッ! バカナ! 精神体である我ニ、物理攻撃だト!?」
さすがはドラゴンスレイヤー、何でも斬れるな。☆10は伊達ではない。
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