私達の最良の時/私達は幸いなる少数
早藤 祐
第1章 私達の最良の時
2020年1月(1) 事の起こり
神戸総合大学深江キャンパス軽音楽部のガールズ・バンド「ティエンフェイ」唯一のヴォーカル
「大げさだよ」
逃れようと
「抵抗は無駄。あんたの声は私達の声なんだから言う事聞きなさい」
先輩メンバーの
女子学生寮の食堂、長机を囲んで行われた緊急ミーティングは紛糾した。
プロデュース担当、キーボードの
「
そう、神戸総合大学深江キャンパスの大学祭は5月下旬の土曜日・日曜日、2020年の場合、5月23日・24日に行われるのだ。
「ヴォーカルの代役を探すしかないよね。六甲キャンパスの連中に頼む?」
そう言ってみたのはメンバー唯一の2回生、
「そ・れ・は・い・や・で・す」
案の定、ギター&ヴォーカル担当の
ライバル意識はあるし、大学音楽クラブ・サークル対抗戦とかあるから借りは作りたくない。看板のヴォーカルで連中の協力を得るのは絶対に嫌だ。
「はい、はい。そうだよねえ。そうなると寮内で出来る子がいないかな。素人でも練習すれば即戦力」
なんて無謀な事を言い出したのはドラム担当、
早々ヴォーカル候補なんて出てくる訳もなくこの日のミーティングはお開きになった。
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