ガラクタ箱の雫
アオノクロ
スリーピート・アフタ・キャット
目が覚めると公園にいた。
ベンチで寝ていたが体は痛くない。まだちゃんと活動してない頭で周りを見渡しても、見慣れた遊具、座り慣れているベンチ、いつもの公園だ。しかし、何故いるのかどうも記憶がない。
隣の滑り台からネコが歩いて来る。まだ寝ぼけているのだろうか、どうも宙に浮いているように見える。
「ふにゃあぁぁぁぁぁぁ」
ネコも眠たいのだろう。歩きながら大きな欠伸をし始めた。
「あー、そうだよな眠たいよな」
「ぁぁぁぁぁぁぁ」
「長い長い」
近くまで来たのでつい手を伸ばしみた。
ら、食べられた。
ネコの口が大きく開き、指をカプッ、どころか、バクッ、と全身を丸呑みされた。
怖くはなかった。ただ、好きなアイスの匂いがした。
目が覚めると教室にいた。
教壇で先生が授業をしている。うっかり居眠りしてしまったらしい。
アイスの匂いがする。隣の机で女子が食べていた。
「国によってはネコは神の使いとされ……」
(なんの授業だっけ、これ)
アイスを食べていた女子は携帯をさわっている。周りにいるみんなも寝たり携帯をいじったりと、真面目に聞いていない。携帯のほうがやや多めか。
「ネコナミン星の住人が過去にも地球に来ていた可能性が」
気が付くと生徒は全員形態をいじっている。
肩からもう一つの頭を生やしたり、全身を赤く大きくしたり、二本の尻尾を生やした物もいる。
「ふおぉ〜ぉ、お〜ぉぅ」
後ろから大きな欠伸が聞こえてきた。
振り向くと、天井まで届きそうな頭が口を開いている。
(あ、喰われる)
思った通りになった。
やっぱり怖くはなかった。本の匂いがした。
目が覚めるとバイト先の本屋にいた。
ある図鑑のページの猫が口を開けている。
怖くはなかった。何かの匂いがした。
目が覚めるとここにいた。
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