現実という名のクソゲー
マルぼんが帰宅すると、ヒロシ、ゲーム機のカセット差仕組み口に手を突っ込んで「どうして、ねえ、どうして!?」と絶叫しておりました。マルぼんが「どうしたんだい」と尋ねてみると
ヒロシ「ゲームの中の僕(の操作するプレイヤーキャラクター)は、恋に魔法に友情に冒険に、さわやかな汗を流しているってのに、現実の僕ときたらろくでなしの人生をただ無駄に送るばかり。だから僕は、ゲームの世界で生きることを決意したんだ! とりあえず、ゲーム世界への入り口らしきものがカセットの差込口しかなかったから、そこから入ろうかと」
ヒロシくんのおとうさん。ヒロシくんのおかあさん。あながたの愛の結晶は、よりにもよってこんな成長を遂げてしまいましたよ。
ヒロシ「きーみーつーどーうーぐー」
マルぼん「はい『リアルプレイヤー』.みらいのせかいの人気ゲーム機さ」
ヒロシ「ファミコンのパチモン?」
マルぼん「一見そう見えるけど、ちがうよ。ここの差込口に好きなカセットをセットする。で、電源を入れるとそのゲームのキャラクターに身も心も変身することができるんだ」
ヒロシ「それはおもしろそうだねえ」
マルぼん「好きなカセット、だしてみ」
ヒロシ「それならこれかな。ものすごくやりこんだ思い出のあるゲーム」
ヒロシはそのカセットを『リアルプレイヤー』にセットすると電源をいれました。
マルぼん「どんなゲームなの」
ヒロシ「オーソドックスな、剣と魔法のRPGだよ。ところで、ゲームのキャラクターになるというけど、
どのキャラクターになるとかわかるの?」
マルぼん「君にもっともふさわしいど『リアルプレイヤー』が判断したキャラクターだよ」
ヒロシ「そうなんだ。いったい僕はどのキャラクターになるんだろう。勇者かな。ラスボスの魔王だったりして。あ、なんだか、ねむく……」
マルぼん「目覚めたとき、君の心はゲームのキャラクターになっているよ」
ヒロシ「むにゃむにゃ」
『あ、もしもし。警察ですか? はい、事件というほどでもないのですが、家の前を変な人がうろうろしているんです。追い払ってもすぐに戻ってきて、家の前を徘徊するんです。右に行くかと思えば突然左を向いたり、左へ行くかと思えば突然右へ行ったり、動きが不気味なんですよ。しかも、何度話しかけても同じ返事しかしないのですよ。「武器や防具は持っているだけではいみがない。きちんと装備するんだ」としか言わないんです。もう気持ち悪くて気持ち悪くて。あ、すぐに来てくれますか。ありがとうございます。さっさと射殺してくださいね』
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