天までとどいた

カップル男「いちゃいちゃ」



カップル女「いちゃいちゃ」



ヒロシ(ちくしょう。バカップルどもめ、人目もはばからずイチャイチャしやがって。こちとら、独り身の小学生だってんだ。ちくしょうちくしょう。死ね。死ね! 俺の願いよ、俺の想いよ天まで届けー!!)



カップル男「ううっ胸が!!」



カップル女「ダーリン!!」



ヒロシ「ほんとにとどいちゃった!!」



 以来、ヒロシは罪の意識に苛まされて、眠れぬ日々が続いているそうです。カップル男のために仏像を彫ったり写経をしたりしていますが、うまくいかないそうです。



ヒロシ「許してください。もう、夢の中に登場しないでください…ぶつぶつぶつぶつぶつ」



マルぼん「なんとかしないといけないなぁ。よし、こいつだ。『げんじつとう火ロウソク』」



 苦難に陥っている人が『げんじつとう火ロウソク』で点った火を見ると、本人その時の気分もガン無視して、お手軽に確実に現実逃避できるのです。いかなる困難にも立ち向かってやるぞっという、強固な意志を持っている人でも無理やり現実逃避させてしまうのです。



ヒロシ「あ…そうだ。今日は大好きなアニメがあるんだ。そうだ。あはははぁ」



マルぼん「よかったよかった。念のため、『げんじつとう火ロウソク』は、このまま置いていこう」



 その日の夜。マルぼんが放尿しようと目を覚ますと、『げんじつとう火ロウソク』いつの間にか倒れていました。『げんじつとう火ロウソク』の火は、そのうち起こす予定の革命で使うために準備していたガソリンにも引火。



マルぼん「わぁ! ヒロシ、起きろ!」



ヒロシ「むにゃむにゃ」



マルぼん「やばいって。火事だ! たいへんだ! たいへんだー!! どうしよう!? どうしよう!? ……あ、火といえば、この前のキャンプファイアー楽しかったなぁ」



 火は瞬く間に広がり、ヒロシ宅を包み込みました。通報で駆けつけた消防隊でしたが。



消防隊員A「こ、これはすごい炎だ。ちょっとやそっとじゃ消えないぞ…炎といえば、今度生まれるうちの子供、炎と書いてファイアーと読ませる名前にしようと思うのですけど」



消防隊員B「いいスねー」



消防隊員C「いいスねーキラキラネーム」



 炎と楽しかったキャンプファイアーの思い出に包まれながら、マルぼんは『げんじつとう火ロウソク』の効果は絶大だと思いました。



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