運動会の思い出

ヒロシ「ふんふんふふーん♪」 



マルぼん「おやヒロシ氏。鼻歌まじりでノートになにを書いているの?」



ヒロシ「これだよこれ。見てよ」 



マルぼん「えっと、なになに。『運動会を考えたヤツ、死ねとは言わないけど息の根とまれ』。え、ノートの全ての行全てのページに同じことが書いてある!しかも一行ごとに全て色が変えてある! きもっ」 



ヒロシ「へ、へへ…運動会を考えたヤツなんて、酷い目にあえばいいんだ。へ、へへ……運動会こそ、人類最大の愚行……!」 



マルぼん「そうか。微笑小は、もうすぐ運動会。運動音痴のヒロシにとって、運動会はまさしく地獄。恐怖からついに発狂したか」 



 これから中学高校と進学していくヒロシ。いつまでも運動嫌いではまずいと思ったマルぼんは、機密道具を用意することにしました。 



マルぼん「『チュー毒』」 



ヒロシ「ネズミのおもちゃけ」 



マルぼん「このネズミの中には、犯されると『運動が好きで好きでしかたなくなる毒』がいれてある。このネズミロボに噛まれると、その毒に感染することができるのさ」



ヒロシ「ちょ、毒とか使うなよ、毒はまずいよ。毒は。ど…」



 ガブッ。 



 こうしてヒロシは『運動が好きで好きでしかたなくなる毒』に体を犯されました。



マルぼん「どうだ!? 運動がしたくてしたくて仕方なくなったろ」



ヒロシ「今度の運動会。スポンサーは金歯の家か」 



 マルぼんの質問に答えず、ヒロシは部屋を出て行きました。



ママさん「ねえ、ヒロシはどうしたの? なんかガソリンとか空き瓶を大量に抱えて出ていったけど」 



 金歯宅前。 



ヒロシ「金歯一族は運動会のスポンサーになるのはやめろー!!金歯一族は運動会のスポンサーになるのはやめろー!!

金歯一族は運動会のスポンサーになるのはやめろー!!」



門番「なんだ貴様は!」



ヒロシ「『運動会をなくす会』の者だっ!! 金歯一族は運動会のスポンサーになるのはやめろー!!金歯一族は運動会のスポンサーになるのはやめろー!!」



門番「取り押さえろ!!」



ヒロシ「痛い痛い! 暴力を振るった! 暴力を振るった! みてください、この人暴力振るいましたよ! 善良な一般市民であるこの僕に! いてて、救急車よんでー!!」



門番「頭おかしいやつか!」



ヒロシ「なんだと、この資本主義の奴隷どもめ!!」



 手製の火炎瓶を投げまくるヒロシ。金歯宅は火の海に包まれました。



門番「うわ、うわあああああ!!」



 その場から逃亡したヒロシの行方は知りません。



 その後、交番の掲示板には『飛行機を乗っ取って某国に亡命した方々』『大企業に爆弾とか使って脅迫した方々』『凧を使って戦闘機をおとそうとした方々』の写真と並んで、ヒロシの写真が掲示されることとなったのでした。



 マルぼんは『運動が好きで好きでしかたなくなる毒』の効果は絶大だと思いましたが、「運動と言うより活動だよな」とチラッと思いました。

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