ヒロシが誓った青空

ナウマン象「やい、ヒロシ! 俺様は最近、人生に絶望したんで死のうと思うんだが、おまえ殉死しろ! しないと殺す!」



ヒロシ「ひー!!」



 いつのものようにナウマン象にいじめられ、家に逃げ帰ってきたヒロシ。今回のナウマン象は、なんかおかしく、半日以上、家のまわりを徘徊しています。ゴミとか漁りつつ。



ヒロシ「どうしよう。今日は、毛田さんに誘われて、集会に参加する予定なんだ。この世の不正を徹底的に叩き、全ての人類に究極の平等をもたらす、不思議と心が燃え上がるらしい集会に。このままナウマン象が家の周りを活動範囲にしていたら、外に出ることができないよ!」



マルぼん「ふむ。こいつを使おう。『人間モグラ剤』。この薬を飲めば、地下を自由に移動することができるようになる」



ヒロシ「すごい!」



『人間モグラ剤』を飲んだマルぼんたちは、地下を移動し、見事家を脱出することができました。



毛田さん「まぁ。その薬を飲めば、地下を移動することができるのね」



ヒロシ「そう。おもしろいよ」



マルぼん「あとでゆっくり遊ぼう」



毛田さん父「それは素晴らしい薬だ」



 毛田さんのお父さんが突然現れ、マルぼんから奪い取った『人間モグラ剤』を飲み干してしまいました。



毛田さん父「ふは…ふはははは」



 笑い声をあげ、地下へと消える毛田さん父。



 町の権力者である金歯のお父さんが、参勤交代で江戸へ向かう大名行列の途中、地下から現れた男によって襲撃されたというニュースが報道されたのは、夕方のことでした。



ニュース『取り調べに対し、毛田容疑者は「カネにまみれた権力者を殺したかった。今は反省している」と供述。警察では、共犯者と見られる町内に住む不思議な道具を使う生き物と、その飼い主が詳しい事情を知っているものとみて……』



ヒロシ「ええ!! 同志にされているよ!?」



マルぼん「なんてこった…しばらく身を隠すことにしよう」



 今、マルぼんたちは町内某所にある建物で、じっと身を潜めています。



ヒロシ「『人間モグラ剤』なんてなくても、地下にもぐることはできるんだねえ」

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