ヒロシの目指せアイドルなんばーわん
今日は、清楚なところがバカみたいに人気のアイドル歌手・大宇宙アユムちゃんのコンサートへやってきました。
ヒロシ「うへへへ。この日のためにカメラを新調したよ。これでアユムちゃんのあられもない姿を、これでもかこれでもかというくらい撮影してやるんだ……コー!!(興奮による奇声)」
警備員「撮影は禁止されています。会場へのカメラの持ち込みは禁止されています。もし持ち込んだら、ああなります」
警備員が指差した場所では、カメラの持込を試みて失敗した背徳者が、火あぶりの刑に処せられていました。
ヒロシ「ガタガタブルブル。火あぶり怖いよ、怖いよ火あぶり。でも、でもカメラを持ち込んでアユムちゃんを舐るように撮影したい!」
マルぼん「よし、どんなものであろうが、どこへでも自由に持っていくことができるようになる機密道具『モチコミダイカンゲイシール』を用意しよう。こいつを貼れば、コンサート会場へカメラを持ち込めることができるぞ」
ヒロシ「やほーい!」
そんなわけで、マルぼんとヒロシは『モチコミダイカンゲイシール』を貼ったカメラを持ってコンサート会場へ入りました。せっかくなので、そのままアユムちゃんの控え室に侵入し、物陰で息を潜めて色々と見てやることにしました。
ヒロシ「も、もうすぐ、もうすぐアユムちゃんが来るぞう。撮影だ、撮影だ!」
マルぼん「きたぞ! アユムちゃんだ!」
控え室に入ってきたアユムちゃんを撮影しまくるヒロシ。アユムちゃんは撮影されていることに気づかず、ありのままの姿を見せています。服を脱ぎだすアユムちゃん。興奮するマルぼんたち。服を脱いだアユムちゃんの背中には、ありました。ファスナーが。
ジジジジと音をたてながら開くファスナー。ファスナーの中から、無数の米粒くらいの小さなおっさんがわらわらと出てきました。サラリーマン風のおっさんもいれば、酒瓶を持った酔っ払いのおっさんもいる。多種多様な小さいおっさんです。おっさんたちが出てきたあと、アユムちゃんはピクリとも動きませんでした。
騒ぐ無数の小さいおっさんたち。1時間ほどたつと、おっさんたちはアユムちゃんの中へと戻っていきました。
全てのおっさんが中に入り、ファスナーが閉まると、アユムちゃんは動き出し、服を着なおして、そのまま控え室を出て行きました。出て行こうとする際、アユムちゃんはマルぼんたちの隠れているほうを見て、「言うなよ」とドスの利いた声で呟きました。
マルぼんは絶句して動けませんでした。ふと、ヒロシのほうを見ると、カメラを持つヒロシの手は震えていました。
ヒロシ「……撮っちゃった」
マルぼん「あのさ」
ヒロシ「わかってる。わかっているよ。こいつは現像しない。封印する。今目撃したことも、それを撮影しちまったカメラも、ずっと内緒にする。絶対言わない。絶対に見せない。一生……」
マルぼんは、ヒロシがカメラを墓場まで持っていくことにしてしまった『モチコミダイカンゲイシール』
の効果は絶大だと思いました。
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