努力も時に裏切る

ヒロシ「痛いっ」



女「あ、ご、ごめんなさい!」



ヒロシ「いつつつ。今のは痛かった」



女「すいません、すいません、私、まだ慣れていなくて、そのせいでへたくそで」



ヒロシ「気にせんでください。昔から、痛いというのは相場が決まっているんですから」



女「で、でもベテランの人なんかは、ほとんど痛みを感じさせることなく終わらせることができるんですよ。私ももっと練習しないと……でも、下手だからなかなかやらせてもらえなくて」



ヒロシ「日常的に練習する機会があればいいんだけど、こればっかりはねえ」



マルぼん「はい『機会到来機』。こいつはどんな『機会』でも呼び寄せることができる機密道具なの。これさえつかえば、貴女がそれを練習する機会が佃煮にするほどやってきますよ」



女「あ、ありがとうございます。これでがんばって練習します」



ヒロシ「がんばってくださいね」



その帰り道。



マルぼん「さっきの女性ののことを考えているの?」



ヒロシ「うん。がんばって練習して、立派になって欲しいなぁ。あの、注射の下手な看護師さん」






ニュース『逮捕されたのは、微笑町に住む看護師の女性です。この女性は、大量の覚せい剤と注射器を所持しているところを警官に見つかり……』

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