ヒロシはいつでもキョロキョロ

 豚ゲリラ(担任)「えーようするに、この世の全ての怪事件の裏には、宇宙人と結託した某国の陰謀が…おい、大沼! 窓の外ばかり見やがって! 殺すぞ! 死なすぞ! 逝かすぞ!」



 不適切な表現がネックとなり、豚ゲリラ先生解雇(豚ゲリラ先生のその後については外伝『豚がゴリラでゴリラが豚で』参照)。



ヒロシ「僕のよそ見癖のせいで、1人の聖職者が人生の谷間に落ちた! もう許せん! 自分が許せん! 僕のよそ見癖を治す機密道具をだして」



マルぼん「よく言った! よく言ったぞ、ヒロシ! この『よそ見矯正コンタクトレンズ』をつけろ。こいつをつけて小一時間ほど町を歩けば、必ずやよそ見が矯正されるであろう!」



ヒロシ「よし、装着完了。ちょっと出かけてくるね」



 町へと繰り出すヒロシ。と、そのとき。



通行人「ぎゃー刺された!」



 絹を裂くよな通行人Aの叫び声。



通行人「た、たすけてくだせえ。腹を刺されて、傷口から、お腹から、出てはいけないものが出たりしてます」



 気の弱いヒロシは通行人のほうをみることができず、その場から逃げ出しました。



 と、そのとき。



通行人「ぎゃー爆発事故だ!」



 絹を裂くよな通行人Bの叫び声。



通行人「た、たすけてくだせえ。爆発事故で、体がちょっと色々あれで」



 逃げ出すヒロシ。



通行人「たすけてたすけて、体が体が」



通行人「たすけてたすけて、うちの子が」



通行人「たすけてたすけて、俺の腕が」



 行く先々で出くわす事故や事件、その被害者。気の弱いヒロシ、すがりつく被害者のほうを見ることもできず、

ただ前だけを見て歩きました。



『よそ見矯正コンタクトレンズ』をつけて歩くと、自分の進行方向以外のすぐ近くで、「目も当てられない、みたくもない大惨事」おこるようになります。こうやって、よそ見を矯正するのです。



『よそ見矯正コンタクトレンズ』の力は絶大です。ヒロシもよそ見をしなくなりました。カウンセリングとか通うようになりましたが。


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