「もう我慢できない!」ケダモノと化したヒロシ!

ルナちゃん「我がギュルペペ教開祖のギュル山ペペ三郎さまの即身仏が期間限定公開されるというから見にいったんだけど、7時間も待たされて、見るのは一瞬だったわ! ギュルペペ教のために、染めたくもないのに、手を紅く染めまくっている私を待たせるなんて!」



ヒロシ「僕もルナちゃんに付き合って見に行ったんだけど、待ち時間はひどいものだったよ」



ルナちゃん「信者の務めとして、もう一度くらいは見に行くつもりなのだけど、あんなに待つのはごめんだわ」



マルぼん「『マッチ時間』。このマッチに火をつけると、約一年間、人生において『待ち時間』というものがなくなる。病院へ行けばすぐに診察してもらえ、某有名テーマパークへ行けばどんな乗り物もすぐに乗せてもらえる」



ヒロシ「夢のような機密道具じゃないか!」



ルナちゃん「是非とも所望したいわ!」



マルぼん「残念ながら一本しかなくて」



ヒロシ「僕がもらう!」



ルナちゃん「私がもらうんだから!」


 性別の枠をこえて、殴りあう二人。もはや男と女ではなく、獣と獣。そんな獣の戦いを制したのは



ルナちゃん「勝ちました! 『マッチ時間』ゲットですっ」



マルぼん「あの、ヒロシが動かないんですけど、ピクリとも。息もしてないんですけど」



ルナちゃん「あちゃー。息の根とめちゃったみたいだねー。首筋を鋭利な刃物で刺しちゃったしなー。めんごめんご。反省してまーす」

 


通報で駆けつけた警察官により、ルナちゃんは連行されました。



 裁判では、弁護側が「事故だって! 殺意なんてなかったって! いや、マジで。裁判長! ドゥーユーアンダスタン?」と訴えた甲斐もなく、懲役28年の刑が言い渡されました。なお、執行猶予はつきませんでした。



 マルぼんは、刑の執行を待ってくれる時間までなくしてしまった『マッチ時間』の効果は絶大だと思いました。

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