萌えに負けた、世間に負けた

ルナちゃん「ヒロシさん、持っているだけで幸せになるツボが、今ならたったの50万円」



ヒロシ「買っちゃいます」



 ルナちゃんの醸し出す萌えに負けて、50万円するカスみたいなツボを買ってしまった大沼ヒロシさん……



ヒロシ「たすけておくれよ、マルぼん氏!」



マルぼん「『逆値札』。この値札に好きな値段を書く。値段を書いた値札を貼ったものは、どんなものであろうとその値段の価値になる」



 マルぼんは『逆値札』に60万円と書き、ツボに貼りました。すると。



パパさん「おい、宗教は儲かるらしいぞ! ちょうどいい、このツボ、そこらのじいさんに『持っていると若返る』とか言って売りつけてきてやる。なに、好きな子から買ったツボだから売りたくないだと? しかたねえな。競馬で大穴当てたから、買い取ってやるよ。ほら、60万円でいいだろ!」



ヒロシ「すっげ!」



マルぼん「『逆値札』の効果は絶大なんだ」



ヒロシ「この値札に『300万円』とか書いて自分に貼れば、僕は300万円の価値の人間になるのではなかろうか」



『逆値札』に「300万円」と書いて、己の体に貼るヒロシ。



パパさん「すまねえ、ヒロシ。取引先と揉めた! ついカッとなって相手を逝去させちまった!  犯人はお前って、警察に電話しといたから!」



 返り血を浴びて真っ赤になったパパさんが帰ってきて、そう言いました。








ニュース『この事件についてなんからの事情を知っているとみられる、というかどうも犯人っぽい小学生・大沼ヒロシくんは現在所在不明です。被害者の遺族は、事情を知っているという小学生・大沼ヒロシさんの有料情報に、300万円を払うと発表し…』








 マルぼんは、『逆値札』の効果は絶大だと思いました。

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