ヒロシと少女とインド人

ヒロシ「明日ね、駅前にある『少女とインド人の銅像』の前で、仲間と待ちあわせする予定なんだけど、待ちあわせ時刻に間に合う自信がないんだ」



マルぼん「『待ちあわせ磁石S極・N極』。このS極を自分の体に、N極を待ちあわせす場所につける。待ちあわせ時間が近くなると2つの磁石が引き合い、体が勝手に動き出し、N極をつけた場所のすぐ前……ようするに待ちあわせ場所へと向かう。たとえ待ちあわせのことを忘れていても、体が勝手に動くから大丈夫」



ヒロシ「やったー、さっそく『少女とインド人の銅像』にN極をつけてくるよー」



 そんなわけで、『少女とインド人の銅像』にN極をつけて、S極を自分の体につけるヒロシ。これで待ちあわせ時刻になれば、『少女とインド人の像』の前まで体が動くはずなのですが。



 ところが。



マルぼん「え『少女とインド人の銅像』、撤去されたの?」



ヒロシ「うん。軍の人が来て、トラックに載せて持っていってしまったらしいんだ」



マルぼん「そういえば金属不足で、『金属回収令』とかでていたっけ。銅像まで回収するとはねえ。回収した金属、軍はいったいなにに使うのやら」



ヒロシ「待ち合わせ場所がなくなってしまったんだ。『待ちあわせ磁石S極・N極』も無駄になったね」



兵士「大沼ヒロシだな!」



ヒロシ「あ! 兵士!」



兵士「貴様が反政府テロ組織『まじかる☆ぶれいど』の幹部ということは周知の事実だ! 覚悟しろ!」



 そういって、ヒロシに銃を向ける兵士。この銃に装填されている弾丸の薬莢が、『少女とインド人の銅像』を溶かして造られたものであることに、ヒロシもマルぼんも兵士も気づくわけもなく、したがって、『待ちあわせ磁石S極・N極』の効果が絶大であることに気づく者はいませんでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る