義理の妹

ヒロシ「おかしいよ、世の中間違っている!」



マルぼん「どうしたの?」



ヒロシ「僕の心の中での僕は、幼馴染や義理の妹やクラスの女委員長に慕われまくりで、スポーツも勉強もパーフェクトな人間なんだ。それなのに、現実の僕は…現実の僕はろくでなし!! 悲しいくらいにろくでなしなんだ! 間違っている!」



マルぼん「しんどいなぁ」



ヒロシ「願望を現実にしてしまう機密道具だして!!」



マルぼん「妄想を現実にしてしまう機密道具ならあるよ」



ヒロシ「それでいいや!」



マルぼん「『妄想流出マクラ』! この枕を頭の下に敷いて、なんか色々妄想してみて」



ヒロシ「こうかな。よし。『サクラ(脳内妹の名前)、お兄ちゃんはここだぞー!!』」



マルぼん「本格的に妄想に依存するようになった人間って、おっそろしいな、おい」



 ヒロシが妄想を始めて数分。



サクラ「お兄ちゃん、はやく起きないと遅刻するわよ!!」



ヒロシ「サ、サクラ!?」



サクラ「か、かんちがいしないでよね! お母さんに言われて起こしに来ただけなんだから。別におにいちゃんが遅刻したってかまわないんだから! ホントなんだから!」



ヒロシ「すごいや! 本当に妄想が実現したよ!」



 ヒロシは再び『妄想流出マクラ』を頭の下に敷きました。



ヒロシ「どんどん妄想を現実のものとしてやるんだ」



 それから数分。どこからともなく、笑い声が聞こえてきました。



笑い声「ふふふ。見てみろよ、アレが大沼ンとこのバカ息子だ」



ヒロシ「だだだだだ誰だ!?」



 笑い声は、ラジオから聞こえてきました。



笑い声「愚か者愚か者。あはははははは」



ヒロシ「電波で僕の悪口を言うのをやめろ!」



壁の染み「ひひひひひひ」



ヒロシ「壁の染みが人の顔に見える! 僕を見て笑っているー!!」



近所の人たち「大沼さんとこの息子さんはひそひそひそ」



ヒロシ「みんなが笑っている…僕のことを笑っているー!! ぎゃー!!」



 どうも『妄想流出マクラ』の効果で、ヒロシの被害妄想まで現実化してしまったようです。

マルぼんは『妄想流出マクラ』の効果は絶大だと思いました。

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