ナウマン象の快楽

ナウマン象「やい、貴様ら! 俺を汚い言葉で罵らないと殺すぞ! 家族にも危害を加えてやる!」



ヒロシ「やめてくれよ!  やめておくれよ!  殺さないでおくれよ!  娘にだけは手を出さないでおくれよ! 罵るから!  汚い言葉で罵るから!!  いくよ! この人間のクズ!!」



ナウマン象「ああっ」



ルナちゃん「醜い雄豚! 悲しきチャーシュー!!」



ナウマン象「はううっ♪」



マルぼん「(差別用語なのでカット)!!」



ナウマン象「おううっ♪」



金歯「貧乏人!!!」



ナウマン象「貴様の汚い言葉だけは、なんかむかつく! 逝去しろ! この!」



金歯「ぎゃー!!  なんで朕だけー!!」



 最近、ストレスを貯めることで、快感を得るというスキルを身に付けたナウマン象は、マルぼんたちに悪口を強要するようになっています。



 マルぼんも1人の体ではないので、いい加減うざく、なんとかしようということになりました。



マルぼん「『ストレ酢』。この酢を飲むと、ストレスが溜まる。こいつを飲むんだ」



ナウマン象「んぐんぐんぐ。はうううっ♪」



ヒロシ「すごいや。幸せで仕方がないという表情!」



ルナちゃん「この酢があれば、私たちが罵倒しなくてもナウマン象さんは、ストレスによる苦しみで、快楽を得ることができるのね」



ナウマン象「こいつは貰っていくぜ~」



『ストレ酢』を持って帰るナウマン象ですが、数日後、青い顔をしてマルぼんを訪ねてきました。



ナウマン象「『ストレ酢』がな、切れちまった! 新しいのをだしてくれ!」



マルぼん「あれなぁ、もう、生産中止なんだ。ごめん」



ナウマン象「あああ♪」



ヒロシ「ナウマン象の恍惚とした表情!」



マルぼん「『ストレ酢』が飲めないと言うストレスが、彼に快感を与えているんだ!」



ナウマン象「いいから、はううう。『ストレ酢』に変わる機密道具を、はうう、出しやがれ!」



 彫刻刀を振り回すナウマン象。



マルぼん「うわー!! 警察呼んでー!!」



ヒロシ「あと、頭の病院を呼んで!!」



ナウマン象「はうう~はうう~うっ!?」



ヒロシ「倒れた!」



マルぼん「ストレスためまくりゃあ、そりゃ倒れるさ! 早く病院へ!」



 病院へ運ばれるナウマン象。



医師「いや、もうほんと、やべえですわ。やべえ。俺には無理っス。手に負えない病気っス。詳しくは、この診断書を読んでくだせえ」



ヒロシ「う。これ…とんでもない病気じゃないスか!」



マルぼん「これを本人に告知する勇気は…マルぼんにはないなぁ」



ナウマン象「な、なんだよ、きちんと説明しろよ!!」



ヒロシ「う、ううう…かわいそうでかわいそうで…僕にはとてもじゃないけど言えない」



ナウマン象「お、俺は、俺はどんな病魔に蝕まれているってんだ!? いいから、教えろ!!」



マルぼん「……」



ヒロシ「……」



医師「……」



ナウマン象「優しい目で俺を見るなぁぁぁぁぁぁぁはううううっ♪」



 己の体を蝕む未知の恐怖へのストレスで、快感にむせび泣くナウマン象の体。ストレス=快感の人にとって、

現代日本はパラダイスだとマルぼんは思いました。

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