中に

ヒロシ「こないだの休みに、1人で某有名テーマパークへ行ってきたんだ。ほら、某有名テーマーパークの有名マスコットと一緒に写った写真だよ」



ナウマン象「これが有名マスコット? 単なる着ぐるみじゃねえか」



ヒロシ「着ぐるみじゃないよ。実在する、有名マスコットだよ! 人々に夢を与える有名マスコットだよ」



ナウマン象「いんや、これは着ぐるみだね。中に人が入っている着ぐるみだね!」



ヒロシ「き、着ぐるみじゃないもん! 中に人などいないもん! 子供たちの夢を壊すな!」



ナウマン象「うるせえ、この永久の夢追い人! 暴力をふるってやる」



ヒロシ「げふっ」



マルぼん「なんだいなんだい、騒がしい」



ヒロシ「実はかくかくしかじか。ねえマルぼん、有名マスコットに中の人などいないことを証明できる機密道具だしてよ!」



マルぼん「そんな機密道具ないなぁ」



ナウマン象「中に人がいないことを証明できねば、ヒロシは一生俺のどれい」



金歯「そういう展開になると思って、金の力で有名マスコットをここに連れてきたでおじゃる」



有名マスコット「ハハッ金歯さん、マジやばいです。こういうことしたらダメなことになっているんスよ。マジ勘弁してくださいよ。もうちょっとお金のほう、くださいよ。金。金。銭。マネー」

 


 子供たちに夢を与える有名マスコットらしからぬことを口走る、有名マスコット。中の人の存在を疑わざるを得ません。



ナウマン象「この場でこいつから着ぐるみをひっぺがしてやんよ。そしたらヒロシも納得するだろう」



金歯「夢はいずれ終わるものでおじゃる。終わらない夢などないのでおじゃる。終わらない未来を目指す意味などないのでおじゃる」



ヒロシ「マルぼん、僕は、僕はいい。でも、有名マスコットの実在を信じて疑わない子供たちが、子供たちの夢が、このままでは大変なことになってしまう!」



マルぼん「むうう。子供たち夢を壊してはならぬ、なんとかしないと……そ、そうだ」



 マルぼんはとっさにとある機密道具を出して、ナウマン象たちに見つからぬよう、有名マスコットの中の人に使用しました。



ナウマン象「ほら、着ぐるみはいだるでえ!」



 有名マスコットの着ぐるみを力まかせに無理やりに剥ぎ取るナウマン象。中からでてきたのは……普通のおっさん!



ナウマン象「ほれ見てみろ、中に人がいた」



マルぼん「いや、それは人なんかじゃない」



ナウマン象「何を言って」



 ナウマン象の言葉はそこで途切れました。有名マスコットの中にいったおっさんの舌がいきなり伸びて、ナウマン象の頭を貫いたからです。倒れて動かなくなるナウマン象。



金歯「た、たすけ」



 金歯の言葉はそこで途切れました。おっさんは口から熱線を発し、それをまともに浴びた金歯は消滅。おっさんは金歯の消滅を見届けると、大きくジャンプ。近くの民家の屋根に座り、遠吠えをあげました。



マルぼん「とっさに、『人が化け物になる薬』を中の人に使ったんだ。これで有名マスコットの中にいたのは人ではなくて人っぽい化け物ということになっただろ」



ヒロシ「なるほど、これで夢は守られた!」



マルぼん&ヒロシ「バンザーイ! バンザー…」



 ヒロシとマルぼんの万歳三唱はそこで途切れました。おっさんが2人に向って熱線を放ったのです。2人は消滅しました。



 こうして人類と化け物になったおっさんとの、種の存続をかけた果てしないバトルがはじまったのでした。完。

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