落とし穴

ヒロシ「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 死ぬぅぅぅぅぅぅ!」



ナウマン象「やた!」



金歯「ヒロシのヤツが落とし穴にはまったでおじゃる!」



ナウマン象「愉快痛快~」



ヒロシ「ひどいや! ひどいや!」



ヒロシ「というわけで復讐だっ。落とし穴を簡単に作ることのできる機密道具だして!」



マルぼん「機密道具カタログに、『落とし穴の種』ってのがあるね。こいつを埋めれば、速攻で落とし穴ができてしまうらしいよ」



ヒロシ「さっそく購入しようよ!」



マルぼん「あ、メーカーの人がこられたよ」



メーカーさん「こちらが『落とし穴の種』になります」



ヒロシ「わー。お値段はいくらですか。お高いんでしょ」



メーカーさん「ローンがあるので大丈夫ですよ。一日に支払うお値段は、コーヒー1杯分程度なんです」



ヒロシ「うわーお安い値段ですねー」



メーカーさん「そう言われるかたもおられますね、少なからず。では、こちら、売買契約書。サインをお願いします」



ヒロシ「はいー♪」



 さっそくヒロシは、空き地(近所の金持ちの私有地)に『落とし穴の種』を植えて、ナウマン象と金歯をおびき寄せました。



ナウマン象「おい、なんのよう…」



ヒロシ「えいっ!」



 ヒロシは速攻でナウマン象と金歯を落とし穴に突き落としました。



ヒロシ「ははは。かんろかんろ。思い知ったか」



金歯「お、おい。ナウマン象、落ちた時に頭を打ったみたいで、ピクリとも動かんでおじゃるぞ!」



 十数年後。



バーのママ「ふーん。お客さん、それで刑務所へ」



中年ヒロシ「それから、なにをやっても人生うまくいかへん。真面目にやろう思うても、あの事件がついて離れよらん。すべて台無しにしよる。果てが、このザマや。あのとき、あのとき落とし穴さえ作らなければ、ワシの人生、もうちょっとうまくいってたように思うわ。ほんま、人生はどこでなにがあるかわからへんもんやな……どこに落とし穴があるかわからへん」



 ヒロシの人生、完。また来世!

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