味
マルぼんとヒロシが町を歩いている時のことでした。
母親「ターくん、おクスリを飲まないってどういうこと!?」
ターくん「苦いんだもの。苦いのだもの。そのおクスリ、見るからに苦いのだもの!」
母親「苦いのは飲むときだけよ。 すぐに楽になるのよ。我慢して飲みなさい」
ターくん「いやー」
マルぼん「もしもし、さしでがましいようですが、これを使ってみませんか。未来の世界のオブラートです。これに包めば、どんなに苦くてもそれを感じずにおクスリを飲むことができますよ」
母親「ありがとうございます。ありがとうございます。これで私たち親子は苦しみから解放されます」
マルぼん「いえいえ」
ヒロシ「いいことをしたよねえ。それよか、そのオブラートさ、クスリ以外のものにも使えるのん?」
マルぼん「うん」
ヒロシ「それならさ、僕の大嫌いな干しブドウに使うよ。へへへ」
マルぼん「あまり使うと、料理の味自体もわかんなくなるから要注意な」
ヒロシ「わかったよー。あ。そろそろ晩御飯の時間だよ。帰宅しよう。今日の晩御飯はなんだろう」
ママさん「それ」
ママさんが指差した台所のテーブルの上には、冷え切ったコンビニ弁当が。無言でそれを食べ始めるヒロシ。その目には涙。涙。また涙。
マルぼんは夕食で「おふくろの味」「母の愛」を味わうことにできなくしてしまった未来の世界のオブラートの効果は絶大だと思いました。
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