パズル名人を倒せ

ベルゼブブ(担任)「今日から貴様らと共に色々学んでいく、転校生のパズル名人くんだ」



パズル名人くん「特技はパズルです」



女子「きゃーすてきー!」



ヒロシ「ルナちゃんまで黄色い声を上げている!」



ヒロシ「というわけで、ボクもパズル名人になってモテたいので、パズルが得意になる機密道具出して!」



マルぼん「『パズル手袋』。この手袋を装着した手で触ったものは、突然バラバラになる。壊れたり死んだりしたわけではなくて、ようするにパズルのピースのような状態になるんだ。組み合わせて完成させれば、元通りになる」



ヒロシ「こいつをつけて、日常に当たり前のようにパズルが転がっているような状態を作り出せば、いつしかボクはパズル名人になっているという寸法だね」



 と、そのとき、電話がかかってきました。



パパさん「ヒロシか」



ヒロシ「父さん! どこに出かけているのさ! もう、一ヶ月も帰ってこないじゃないか」



パパさん「ごめんな、父さんはいま、不幸も悲しみもない幸せの国を探しているんだ。じゃあな」



ヒロシ「ちょっと…」



ママさん「ただいまー」



ヒロシ「母さん! やっと帰ってきたんだね! 買い物に行くと言ってでかけて、はや数ヶ月!」



 ヒロシのほうなどむかず、ひたすらタンスの引き出しを調べているママさん。やがて、札束が入っているとおぼしき茶封筒を取り出しました。



ママさん「あった! よかったー。あ、ヒロシ。表に車を待たせてあるの。じゃあね」



ヒロシ「い、いつ帰ってくるのさ」



ママさん「お金がなくなったら」



ヒロシ「……」



 出て行くママさん。



 こうしてヒロシは、家族という名のピースがバラバラになった、家庭という名のパズルに挑戦すること

になったのでした。マルぼんは『パズル手袋』の効果は絶大だと思いました。

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