夢も時間もオイラを裏切る
マルぼんが深夜の町を徘徊して、他人様の家をしげしげと眺めて、取り込み忘れられた洗濯物を物色していた時のこと。休憩がてら公園に寄ってみると、暗い顔をした男がブランコに座っていました。
その憂いを秘めた表情を見て「なんかおもしろそう!」と思ったマルぼんは、接触を試みました。
男「現実に夢が負けたのです」
男には大きな夢があったそうなのですが、家族・仕事などの現実の厳しさに追われるうちに、その夢がいつの間にか自分の中で小さくなっていたことに気付いたのだそうです。そのことが、途方もなくむなしいのだそうです。
男「夢はあきらめるものなのですね」
マルぼん「否! 断じて否! 夢はあきらめるものではなく、みるものでもなく、かなえるものだ!!」
マルぼんは懐から霧吹きを取り出して使用し、男に向かって霧を吹きかけました。
『リフォー夢リフォー霧』、夢をリフォームする特殊な霧です。この霧を浴びたものは、抱いている夢を現実にするため、行動するようになるのです。
男「俺、間違っていた!」
男は希望をその顔に浮かべ、駆け出していきました。
マルぼん「夢をかなえてくださいよ…必ず」
その背中にむかい、ポツリと呟くマルぼん。
ヒロシ「マルぼん、聞いた?」
マルぼん「なに?」
ヒロシ「市役所に、刃物を持った男が立てこもっているらしいよ」
マルぼん「え」
ヒロシ「なんでも、昔、学生運動でバリバリ活動していた男で『微笑町の町議会の汚物どもは即刻切腹しろ。死んで薄笑町に謝罪せよ。さすれば、微笑町は人々は平等思想に元に公平に暮らすことにできる、夢の太平天国となるのだ。人々よ、我が夢に集え! 我が夢に集え! 夢を実現せよ!』とか、意味のわからない声明を発表しているらしい」
マルぼんは『リフォー夢リフォー霧』の効果は絶大だと思いました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます