未来通販
ヒロシ「おや。この一昔前のパソコンみたいな物体はなにかしら」
マルぼん「なんだ、帰っていたのか、ヒロシくん。そいつは未来の世界の商品をどこにいても買うことができる『通販モニター』だよ」
ヒロシ「へえ。そんなのがあったんだね。ちょっと見てみるか。あれ? 現在の通貨も使えるんだね。しかも手ごろな値段のものがたくさんあるや」
マルぼん「あ。いいこと思いついた」
ヒロシ「僕もだよ。こいつでナウマン象やら金歯やら相手に商売しよう」
この商売は大当たり。近所の子供たちはこぞって未来の世界の手ごろな商品を買いあさってくれたんです。んです。そんな儲かって儲かってウハウハなある日。
初老の男性「ここではなんでも売ってくれると聞いたのですが。人間は売っていますか?」
ヒロシ「人間ですか」
初老の男性「私、数年前に子供を亡くしてしまいまして(ありがちなお涙頂戴話なので中略)。どうか、私に可愛い女の子を売ってください!」
ヒロシ「そいつは聞くも涙語るも涙。売りましょう、人間。機密道具『人間』。ぶっちゃけ人間なんです、自分の好きなように設定できる人権皆無なやつです。あ、でもバカ高いな」
初老の男性「私、1200円しかもってないのですが。安くなりませんか」
ヒロシ「あ、モニターの近くに『割引調整機』なるもの発見。これを調整すれば、好きなだけ割引ができるみたいです。よし、90%割引に調整して…送り先もあなたの住所にして…よし。これであなたの家に、好みの娘さんが
さも昔からあなたの娘だったような顔をして存在している筈ですよ」
初老の男性「ありがとうありがとう」
ヒロシ「よいことをした後は気持ちが鬼のようにいいな。でも、『割引調整機』なんていいものがあったんだね。僕も90%割引で、未来の世界のオモチャでも購入してみよう。きたきた。あれ、なにこれ。オモチャが一部分しかこないよ」
マルぼん「『割引調整機』はバグっているんだよ。50%引きにすると、値段と一緒に商品も50%引きになっちまうんだ」
ヒロシ「そうか。この玩具は90%引きで買ったから、90%引きされた状態で届いたんだね」
マルぼん「そゆこと」
ヒロシ「不便だねえ」
ニュース『今日昼過ぎ、微笑町の無職・権田為蔵さん宅に人の手首のようなものが送られてくるという事件がありました。警察では殺人死体遺棄事件として……』
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