近くの他人も他人は他人

ヒロシ「うへ…うへへ。ほろべ、滅んでしまえ人類~」



マルぼん「ワ!  危険思想!  いったいどうしたのさ」



ヒロシ「世界中に苦しんでいる人がたくさんいるっていうのに、やれクリスマスだやれ子作りだとはしゃいでいる人間がいるという現実に耐えられないんだ。僕というピュアハートの持ち主は」



マルぼん「んなこといってもさ。誰が苦しんでいても、所詮は他人事じゃんかー」



ヒロシ「よくもそんなことを言える!  この醜い豚が!」



マルぼん「やれやれまいりました。そうだ。その音色を聞いたものはあらゆる出来事を『所詮は他人事やん』と気にしなくなる機密道具『他人琴』を使ってみるか。そーれ」



ヒロシ「う。なんて素晴らしい音色。なんか、少しづつ、あらゆことがどうでも良くなってきたよ。ふふふ。だれが不幸でもいいや。所詮は他人事。人民は豚だ」



マルぼん「めでたしめでたし」



 このとき、悲劇は起こっていたのです。『他人琴』の音色を聞いたのはヒロシだけではなかったのです。



 たまたまヒロシの家の前を歩いていた、微笑中央病院の医師。



下っ端医師「先生。ラーメン山さんの検査の結果なんですが、どうも胃癌のような…」



医師「大丈夫。胃潰瘍胃潰瘍。仮に癌でも大丈夫。所詮は他人事」



 たまたまヒロシの家の前を歩いていた、警官。



下っ端警官A「『変な男が付きまとってきて困る』という苦情がきていますが」



警官「大丈夫。純愛純愛。仮にストーカーでも大丈夫。所詮は他人事」



  たまたまヒロシの家の前を歩いていた某合衆国大統領。



部下「テロリストがかなり町に潜伏しているようです」



大統領「よし。核で一掃しよう。市民も死ぬけど大丈夫。所詮は他人事」



 たまたまヒロシの家の前を(以下略)

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