いつまでも正月気分
時をさかのぼること今年の正月終盤。
ヒロシ「はふー」
マルぼん「どうしたんだよ、カレンダーを見つめてため息なんてついて」
ヒロシ「いや、ね。明日から学校なんだよ。正月気分も今日までだなぁ、と想って」
マルぼん「すばやく気持ちを切り替えることができるし、いいと思うけどな」
ヒロシ「せめてさぁ、1月中くらいは正月気分を味わいたいな。毎月あることでもないんだし」
マルぼん「そうかぁ。わかった。こいつを使おう。『正月ムード鏡餅』。こいつを飾っている部屋には、常に正月ムードが……」
「きゃー!」。マルぼんの台詞は、絹を裂くような女性の悲鳴で中断してしまいました。声は外からしました。マルぼんとヒロシが窓を開けて外を見てみると
変質者「ち、ちかよると、自爆するどぉ!」
両手にダイナマイトを持った、生まれたままの姿の男が、通行人に悪態をついているではありませんか。
変質者「生まれ変わったら、幸せな人生じゃ!」
ドウッ。ダイナマイトで自爆する変質者。
ヒロシ「ぎゃー!」
悲鳴をあげるヒロシ。ダイナマイトで粉々になった男の肉片が、ヒロシの顔にへばりついていたのです。
そして今日。洗面所でひたすら顔を洗うヒロシの。
ヒロシ「う、取れない。取れないよ、肉片がとれない。とれないよぉ」
マルぼん「やだなぁ。なにもついてないよ」
あの正月のことを思い出し、今日もヒロシはうなされています。おそらくはこの血塗られた正月のことを、彼が忘れる事はないでしょう。マルぼんは、いつまでも正月気分のままでいさせてくれる『正月ムード鏡餅』の効果は絶大だと思いました。
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