悪口は君の味

 休み時間、ささいなことからナウマン象や金歯と口論になったヒロシ。悪口の応酬になったのですが……



ヒロシ「ちくしょう、お前らなんか、バカだマヌケだろくでなしだ!」



金歯「うぬなんて○○○(悪口のレベルをはるかに超えた、言葉の暴力なので、青少年の育成に悪影響を与える可能性が高く、作者の判断で自主規制しました。知りたい人は来るべきその日を待ってください)でおじゃろう」



ヒロシ「!!  ひ、ひどい!!  ひどいやー!!」



 悪口対決に敗れた負け犬は、学校をとび出して帰宅。マルぼんに泣きついてきやがりました。



マルぼん「悪口対決で負けた? より酷い悪口(信仰や持病、家族のネタなど)を考えて、ぶつけてやれよ」



ヒロシ「僕は生まれがいいから、そんな悪口なんて考えもつかないよ。バカだのアホだのマヌケだの、こういう普通の悪口で、相手に嘘みたいに精神的なダメージを与えられる機密道具はない?!」



マルぼん「『悪口強化メガホン』。このメガホンを通して発せられた悪口は、鬼のような精神的ダメージを相手に与えるんだ」



ヒロシ「このメガホンにそんな効果が。このメガホン、スイッチが二つあるね」



マルぼん「右のスイッチはレベル調整スイッチ。ちょっとした悪口からヘイトスピーチの域まで、悪口のレベルを変えられる。左のほうは」



ヒロシ「あ、左のほう、押しちゃったよ」



マルぼん「ばかものっ。左は自爆スイッチだ!」



ヒロシ「ぎゃー!」



 自爆したメガホンに吹っ飛ばされるヒロシ。



マルぼん「大丈夫か、大丈夫かヒロシ」



ヒロシ「う……うう」



 虫の息なヒロシ。



マルぼん「なにか言い残すことは」



ヒロシ「……げふっ」



マルぼん「ヒロシィィィィィィ」



 享年12歳。ヒロシはその短い生涯を終えました。



ナウマン象「こうもあっけなく、逝っちまうとはなー」



金歯「まったくでおじゃる」



ナウマン象「この前、ヒロシ、俺らのことバカだマヌケだろくでなしだと、散々罵っていたよな」



金歯「今まで散々、いじめていたから……」



ナウマン象「さぞかし恨んでいるだろうな、俺たちのこと」



金歯「……」



 恨まれたままヒロシに死なれたことがショックだった2人は、その後出家。マルぼんは、バカとかマヌケとかろくでなしとかいう単純な言葉で、ナウマン象と金歯に強大な精神的ダメージを与えた『悪口強化メガホン』の効果は絶大だと思いました。

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