婆の財産と置いてけ堀

婆「恐ろしい子だよ! 貴様に、あたしの財産はあげやしない。びた一文だってあげやしないよ!!」



 その出生に秘められた恐ろしい秘密のせいか、祖母である『ママさんのママさん』との折り合いが悪いヒロシです。



ヒロシ「別に婆に好かれなくてもいいんだけど、婆の財産には好かれたいなぁ」



 嫌われてもなんの不思議でもないヒロシのミラクル発言。



ヒロシ「なんとか預金通帳と実印を奪えないかなぁ」



 婆にはすごい財産があるのです。



 財産に非常に興味のあるマルぼんは、機密道具『置いてけ堀幽霊の元』を用意しました。



マルぼん「怪談の『おいてけ堀』は知っているね。この機密道具はそれをもとにしたもの。このカプセルには幽霊みたいな生物が入っていて、こいつの『置いてけ~』という声を聞いた人は、一番大切にしているものをその場に落としていくんだ」



ヒロシ「婆は常日頃から『お金は裏切らない。通帳と実印が一番大切』と言っているから、なるほど!!」



 マルぼんとヒロシは、さっそく婆の入居している老人ホームへと向かいました。



 婆の部屋の窓から、『置いてけ堀幽霊の元』を投げ入れます。元はあっという間に幽霊の形になりました。



幽霊「置いてけ~」



婆「きゃー!!」



 たしかに声を聞いたはずなのに、婆は通帳も印鑑も落としませんでした。



マルぼん「いったいどういうこと…あ!!」



 気がつくと隣でヒロシが冷たくなっていました。命を落としたのです。



マルぼん「婆の一番大切なものは、ヒロシの命だったんだ。でもなんで、日ごろはヒロシのことを嫌いなフリを」



 マルぼんは気がつきました。



マルぼん「婆はツンデレだったんだ!」



 ツンデレって、まだ流行していますかね?

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