金ちゃんの仮装大賞
今日は金歯邸でパーティーが開かれます。参加者は、なんか仮装をしなければならず、もっとも優秀な仮装をした人には10億円与えられます。
珍しくパーティーに誘われたヒロシも「たんなる詰襟学生服をきてバビル2世の仮装と言い張る」という秘策を用意していたのですが、ああ何たる悲劇。ヒロシの用意していた学生服を、パパさんとママさんがとても歪んだ愛の確認方法(快楽を伴う)に使って汚してしまい、使用不能状態となってしまったのでございます。ちくしょう、汚い大人どもめ! 決めた! あたし、大人になんかならない! らしくないのがいいところ!
ヒロシ「パーティーは今日だ! でも、代わりになりそうな仮装道具はないし……マルぼん、なんでもええから、すぐに仮装できる機密道具だして!」
マルぼん「なにもないなぁ。強いて言うなら、この薬を注射したらなんの変哲もない普段の姿でも、十分仮装になるよ」
ヒロシ「打って、その注射を僕に打って!」
そんなわけで、マルぼんは薬を注射。ヒロシは意気揚々と金歯邸へと向かったのですが、入ろうとすると金歯が現れて
金歯「あ、ヒロシ。全然仮装をしていないでおじゃるな。あれだけ仮装してこいと言っておいたのに。ほんと、クズ!」
ヒロシ「うう、なんだよ。やっぱり仮装になんかなってないじゃないか。普通の格好をしているだけで仮装になるなんて虫のいい話、やはり嘘っぱちだったんだ!」
と、そのとき、ヒロシの体に異変が。あちらこちらが突然、変形をはじめたのであります。
ヒロシ「!」
牙は狼!
筋肉はゴリラ!!
燃える瞳は原始の炎!
あと、なんか鼻がドリルみたいになってて、息は異様に臭くて(近くを飛んでいた虫が死亡)、耳はエルフみたくとがっていて、髪の毛は1本1本が蛇になっていて、手は千手観音みたいにたくさん。なんか尻尾も生えている。
どこにだしても恥ずかしくない化け物です。
金歯「ば、化け物!」
ナウマン象「化け物だ! 化け物がヒロシに化けていた!」
ルナちゃん「ヒロシさんに成りすまして仮装大会に侵入し、私らを食べようとしていたのね! おそらく本物のヒロシさんはもう……」
金歯「化け物はでていけ、町からでていけ!」
ヒロシに石を投げる一同。「違うの、そうじゃないの」とヒロシが言っても、口からは「ぐげげげ」という奇声しかでません。
マルぼん「あの注射、未来の世界の汚染された水から作り出された『注射したら化け物になる薬』だったの」
ヒロシ「ぐげげげげげげ」
理解されないヒロシは、その場から飛び去り、そのままいなくなりました。しばらく後、学校の裏山から「ぐげげげげ」という哀しげな声が聞こえることがありましたが、いつしかそれも聞こえなくなりました。こうしてヒロシは、普通の格好をしていてもそれが仮装になるようになったのでした。完。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます