モヒカンでも君を愛す。モヒカンでも君を愛す。
ルナちゃんの髪形がモヒカンになりました。本人曰く、「宗教上の理由」とのこと。
マルぼん「『一定の金額を寄付した後、髪形をモヒカンにすると死後は極楽浄土行き間違いなし』とのことらしいよ。宗教って便利だね、それだけで極楽へ行けるなんて!」
ヒロシ「冗談じゃないよ。いくら『微笑町の好色一代男』の呼び声高い僕でも、あんなルナちゃんにはとてもじゃないけど萌えられないよ。『マンホール』という言葉にも萌えることができるこの僕が、一切萌えないなんて有史始まって以来の珍事だよ。なんとかルナちゃんの髪形を元に戻さないと」
マルぼん「ルナちゃんの目の前で腹でも掻っ捌いて、直訴してみなよ。命のひとつやふたつ捧げたら、納得してくれるかもよ」
ヒロシ「ルナちゃんはなによりも自分が大事な女だから、それは無理だと思う。目の前で人が死にかけていても『あの死にかけ人間の財布、いくらくらい入っているのかしら』と思う人間なんだぞ、彼女は」
マルぼん「なんでキミはそんなのに萌えているの?」
ヒロシ「性癖なんだから仕方ないだろ。とにかく、ルナちゃんの髪形をなんとかしてよ!」
マルぼん「『睡眠学習ハンマー』。このハンマーの攻撃で意識を失った人の耳元で、その人にしてもらいたいことを10回ささやく。するとその人は、目を覚ました後、ささやかれたことを実行に移すようになるんだ」
ヒロシ「よし、そいつを使おう」
マルぼん「ならルナちゃんを連れてこないとね」
ヒロシ「実はこうなると思って、ルナちゃんは既に連れてきているんだ」
部屋の片隅に置かれていた麻袋から、ひょいと顔を出すモヒカンなルナちゃん。
マルぼん「昨日の晩から妙にデカい麻袋が置いてあるなぁ、と思っていたら!」
ルナちゃん「昨日の晩、道を歩いていたらいきなり誰かにクスリを嗅がされて、気づいたら……。点と線がつながった。犯人はヒロシさんだったのね。この件はポリスに……はうっ」
『睡眠学習ハンマー』で、ルナちゃんをどつくヒロシ(目は笑っていない)。ルナちゃん、夢の中へ。(※ルナちゃんは特殊な訓練を受けているので大丈夫ですが、皆さんはマネしないでくださいね♪)。
ヒロシ「えっと、耳元で10回ささやくんだったね。『昨日の晩のことは忘れろ』だったっけか」
マルぼん「『髪形を変えて』だろ」
ヒロシ「そうだったそうだった」
ルナちゃんの耳元で『かみがたを変えて』と10回ささやくヒロシ。しばらくして、ルナちゃんは目を覚まして
ルナちゃん「私、かみがたを変えてみせるわ! 絶対に!」
拳を握り締めて、高らかに宣言。そのままヒロシの部屋を飛び出していきました。
大阪で、企業や公務員を狙ったテロが頻発して起こり始めたのは、それから半年後のことでした。一連のテロに関して、『まじかる☆ぶれいど』という組織が犯行声明をだしました。
『我々「まじかる☆ぶれいど」は、大阪を変える! いかなる手段をもちいても、変えてみせる! その第一歩として、腐った輩を粛清する!』
『まじかる☆ぶれいど』の首領は、髪形がモヒカンの小学生くらいの女だという話。
ヒロシ「あきらかにルナちゃんだ。なんで、大阪でテロなんかを!」
マルぼん「かみがたを変えたい、とか言ってたからなぁ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます