最後の聖人あらわる
ヒロシ「けがれたい」
『平成最後の聖人』『今ガンジー』と呼ばれるヒロシの、突然の爆弾発言です。
マルぼん「ヒロシくん、なにを言っているのさ! キミほどのいい人間が!」
ヒロシは、放課後はいつも町の清掃。休みの日は老人ホームの慰問、クリスマスはサンタの格好をして孤児院にケーキを届けるというスケジュールを持つほどのいい人。大気中の微生物が、自分が呼吸をして吸い込んでしまうことで死んでしまわないかと心配になり、自ら命を絶とうとしたほどいい人。そんないい人間がどうして
マルぼん「『けがれたい』とか言うのさ」
ヒロシ「『聖人』と呼ばれている自分にあきたのさ。本当の僕は、内面にどろどろしたものを、これでもか!これでもか!ってくらい詰め込んでいる人間のはずなんだ。だから僕は黒く汚れたい。悪に汚れたい。汚れて汚れて、多くの人を不幸のどんぞこに追い込む極悪人にまで落ちぶれてみたいんだ! 自分を偽るのはもういやなんだ! でも哀しいかな、僕には悪行を働く度胸は微塵もない」
今ガンジーの願望をかなえてやるべく、マルぼんは『悪行ラムネ』という機密道具を用意しました。このラムネを一粒食えば、ちょっとした悪事を自分の意思に関係なく行ってしまう。二粒くえば、さらに悪いこと。三粒はさらに。
ヒロシ「全部喰うよ!」
マルぼんから『悪行ラムネ』を奪い取り、全てを食らうヒロシ。
ヒロシ「がははは。これで僕は極悪人だ、多くの人々を不幸のそこに突き落とす、極悪人だ! ぐふっ」
ヒロシ、吐血。そして卒倒。ヒロシはいつの間にか、重い病に冒されていたのでした。
数日後、葬儀の席には生前のヒロシと親しかった人がたくさん集まっていました。
ナウマン象「おまえが死んだら、だれを…だれをなぐりゃあいいんだよ、うおおおお」
金歯「主より先に逝く下僕があるかでおじゃる。うううう……」
ルナちゃん「わ、わたし…わたし…ああああああ」
みんな泣いています。「死んでしまうなんてひどい」と泣いて、悲しんでいます。ヒロシは、多くの人を悲しませるものすごい悪行を働いてしまったのでした。この極悪人! おおおお(号泣)。
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