噂のヒロシマガジン

マルぼん「あ、なつかしい機密道具が出てきちゃったよー。『噂雪だるまメガホン』といってね。このメガホンを通して流した噂は、普通の数百倍のスピードで雪だるま式に膨らんでいくんだ」



ヒロシ「へえ…あ、いいこと思いついた」



 ヒロシはメガホンを手に取ると、窓の前に立ち、大声で『ヒロシが、病気で苦しんでいる人を助けたらしいよ。まさに英雄だね』と叫びました。



ヒロシ「よい噂が雪だるま式に膨らんでいったら、僕はあっという間に

英雄になれるよ! これで僕も将来は知事さ」





「ねえねえ。ヒロシが病気で苦しんでいる人を助けたらしいよ」



「へえ。病気でとても苦しんでいる人を助けたんだ」



「とても苦しんでいるくらいだから、すごい病気なんだろうなあ」



「すごい病気か。なんだろう。どんな病気だろう」



「今流行のあれじゃない、鼻血が止まらなくなり、高熱が出て、幻影が見え、最期は死ぬっていう」



「すごい病気じゃないですか。そんなすごい病気を、ヒロシは治したんだ」



「治療法見つかってない病気なのに。すごいね。どうして治したんだろう」



「独自に特効薬を開発したとか」



「あのバカにクスリの開発などできるものかよ」



「そういえば、ある種の病気は、患者の血液を元にしてクスリを造るらしいよ」



「へえ。じゃあ、もしかしたらヒロシは例の病気にかかったことがあって、自分の血でクスリを」



「ヒロシの血はクスリなんか」



「うちの親戚も、あの病気で苦しんでいるんだよな」



「うちの親も」



「俺の妹も」



「ミーのワイフも」



「俺の彼氏も」



「それがしの仕える殿も」



「僕の兄も」



「俺だよ、俺、俺」



「ヒロシの血が」



「クスリなのか」



「ヒロシの肉も」



「クスリなのかも」



「治る。治る。ヒロシの血肉を喰らえば、病気が治る」



「治る。治る。ヒロシの血肉を喰らえば、病気が治る」



「治る。治る。ヒロシの血肉を喰らえば、病気が治る」



「肉! 血! クスリ!」





ヒロシ「わぁ、見てみなよ。よい噂が大きくなったおかげ、僕の信奉者になったらしい

人たちがたくさんやってきたよーあははは。ものども、余はここじゃーここじゃー」



マルぼん「なんでみんな、手に刃物とか持っているのん?」

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