愛はビクトリー
マルぼんとパパさんママさんが帰宅すると、ヒロシが押入れの中から縛られた状態で発見されました。
マルぼん「なにそれ、趣味?」
ヒロシ「なんか『カネカネキンコ』とか言っている外国人風の方々が押し入ってきて、無理やり閉じ込めやがったんだ。もう3日前のことだよ!? 気づけよ、家族ども!!」
ママさん「ごめんね。ちょっとダーリンとのデートとかで忙しかったから」
パパさん「うん? ここ最近、ハニーと出かけた記憶はないぞ」
ママさん「別のダーリンよ」
パパさん「なんだ。ははは。よかった。自分が多重人格で知らない間に人格を支配されてて、その間にハニーとデートしていたとかだったら洒落にならないところだったよ」
ヒロシ「なんてクズどもだろう。マルぼん、頼りない親のかわりに、いつでも僕を見守ってくれる頼もしい機密道具はないの?」
マルぼん「あるよ。はい『見守り透明人間』。いつでもキミを見守って、ピンチのときに駆けつけてくれる透明人間さ」
ヒロシ「ほんと?」
ママさん「ためしに、たまたま用意していた青酸カリ入りの味噌汁を飲んでみない?」
パパさん「たまたま用意していた大量の睡眠薬も大量に服用していいよ」
ヒロシ「偶然てこわい」
直後、青酸カリごはんと睡眠薬を持っていたパパさんママさんが、血を吐いて
倒れました。透明人間の鉄拳が炸裂したのです。
ヒロシ「すげえや。これで僕は無敵だ」
マルぼん「よかったね。あははは」
数日後。ヒロシの下着が消えたり、ヒロシの食べかけのごはんが消えうせたり、「ヒロシ…ヒロシィ!!」とせつなさがにじみ出たような字で描かれたなにか粘着質な液体で濡れたと思われるガビガビのメモ用紙が見つかったりしました。
ヒロシ「なんか、誰かに体を触られたような感覚がするんだ」
マルぼん「機密道具といえども、透明人間は人間だからね」
ヒロシ「え?」
マルぼん「人間だから。恋もするから」
ヒロシ「え? え?」
マルぼん「見守っているうちに芽生えたりするから」
ヒロシ「え? え? え?」
マルぼん「あと、愛に性別は関係ないから」
ヒロシ「男なの!? あいつ男なの!?」
はぁはぁという息づかいが聞こえたような気がしました。
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