ベストセラー請け負います


ヒロシ「ついに自著『あの居候のせいで、俺の人生はめちゃくちゃだ』が完成したぞ! 自費出版で売り出すんだ」



マルぼん「売れると思うか、そんな本が本当に売れると思っているのか」



ヒロシ「そのためにきみがいるんだろう」



マルぼん「やれやれ。とんだダメ少年だこと」



 マルぼんは、どんなダメな本でもベストセラーにしてしまう敏腕編集者ロボ『うちきり10号』を出しました。



うちきり10号「この本、マジで売るつもりですか。すべての文筆家に対する冒涜としか思えんですよ…でも、私もベストセラー仕掛人。知り合いのカルト宗教教祖に頼んでみます。その人の著作ということにすれば、信者が近所の人に配るべく大量に購入してくれるんです。これでベストセラー…」



ヒロシ「そんな中途半端なベストセラーはご免こうむるね。望みは高く果てしなく。わからんちんどもとっちめちん。地球上のすべての人が1冊ずつ持つくらいのベストセラーを所望する!」



うちきり10号「な、なんですと。こいつは途方もない夢だ」



 しかしその途方もない夢に魅せられたのか、うちきり10号は、ヒロシの著作を『地球上のすべての人が1冊ずつ持つくらいのベストセラー』とすべく、旅立ちました。それからしばらくあと。



ニュース『○○国で飢餓のため、130万人が死亡…』



ニュース『××国と△△国の戦争は悪化の一途をたどり、××国では人口の半分が』


>

ニュース『国内で猛威を振るう『ズビバ熱』は、治療法も発見されず、幼児やお年寄りを中心に

多数の犠牲者を』



ヒロシ「最近は暗いニュースばっかだね」



マルぼん「なんでも、昨年一年で、死んだ人の数が生まれた人の数を上回ったってよ」



うちきり10号「上手くいっているようですな」



ヒロシ「え、貴様の仕業なの!?」



うちきり10号「ありとあらゆるコネクションを利用して、人類を破滅へと導いております。最終的には1人だけ、地球上に生き残っていただき、その人にあなたの本を購入していただきます。するとほら、光の速さで『地球上のすべての人が1冊ずつ持つベストセラー』のできあがり!」



ヒロシ「なるほど、お前、頭いいな!」



 マルぼんは『うちきり10号』の効果は絶大だと思いました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る