ヒロシ、折り紙だけで食っていく
マルぼん「へえ! おり紙名人として有名な少年が作ったオリジナルおり紙作品『レジェンドオブギャラクシー~ここより永久に~第4章 再開! ヤスオとナンシー』が、すごい高値で売れたんだって!」
ヒロシ「へえ。おり紙もバカにできないものだね」
マルぼん「そうだよ。たとえば、この『みらいのせかいのおり紙』。こいつもすごいよ」
ヒロシ「どういう風にすごいのさ」
マルぼん「まず、どんなものでも折って作ることができる。普通のおり紙じゃ、どう折ってもけして作ることができないものでも、作ることができる! たとえば『奴さん』。普通のおり紙じゃ、普通の『奴さん』しか折ることができないけど、『みらいのせかいのおり紙』なら、『女房と娘に逃げられて、明日に絶望し、酒に逃げだ奴さん』なんてものを折ることができる」
ヒロシ「ふうん」
マルぼん「しかも、このおり紙で作ったものは、本物とそっくり同じ性能を持つんだ。たとえば、鶴を折る。折った鶴は、まるで本当の鶴のように鳴き、鶴のように飛ぶ」
ヒロシ「うそくせー」
マルぼん「信じていないな。こいつで『兜』を折ってみな」
ヒロシ「折ったよ」
マルぼん「頭にかぶってみ」
ヒロシ「かぶったよ」
マルぼん「そうか」
ヒロシ「おい、どうしたんだよ、マルぼん。金属バットなんて振りかざして。そんなもの、そんなもの危ないよ。早く片付けて」
マルぼん「『みらいのせかいのおり紙』で折った兜は、本当の兜と同じ性能を持っているんだ。大丈夫大丈夫!」
マルぼんは、ヒロシの後頭部を思いっきり殴打しました。ヒロシはそのまま倒れて、動かなくなりました。その頭部、まるで潰れたざくろの如し。
マルぼん「え、な、なんで!?」
急いで『みらいのせかいのおり紙』の説明書を読むマルぼん。
説明書「本製品は、折ったものが本物そっくりの性能を持つようになりますが、その効果をもたらすには、いくつかの工程が必要です。まず、前人未到の深山の奥にある聖なる滝にうたれて、身と心を清めます。その後、穀類以外のものを口にせず、1週間瞑想します。心が空っぽの状態になったら、おり紙を折ります。折ったものを持って再び深山の滝にうたれ、身と心を清めます。その後、自然のみを友とし、霞だけを食べる生活を3年続けて下山、インターネットにつながるパソコンを起動し、弊社のホームページの通信販売のコーナーにアクセスしていただき、『実物と同じ性能を持つようになる特殊なスプレー』を購入し、商品がご自宅に到着後、折りおえたものに吹き付けます。そうすることで、はじめて本物と同じ性能を持つことができるのであります」
マルぼん「なんだ、めんどくさいな」
マルぼんは、骨まで折れる『みらいのせかいのおり紙』の効果は絶大だと思いました。
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