脳内著作権ヒロシ


マルぼん「ヒロシくん。ヒロシくんってば」


ヒロシ「なんだよ。今、僕は夢のように忙しいんだ。おそらくは歴史に残るであろう小説『恋する特別養護老人ホーム~あの娘が僕を看取ったら~』を執筆しているから」


マルぼん「小説。ちょうどいいや。マルぼんさ、おもしろい小説を買ってきたんだ。はい『ポツリヌス戦記』の最新刊。おもしろいよ」


ヒロシ「ふむ。未来のライバルの実力を探るのもいいな。どれどれ…ひっ!?」


マルぼん「どうしたの?」


ヒロシ「パ、パくられた!」


マルぼん「なんだって?」


ヒロシ「『ポツリヌス戦記』に出てくるヒロイン、僕の『恋する特別養護老人ホーム』の続編として考えている『恋するお墓のマンション~妻が喪服に着替えたら~』に出てくるイボンヌ(敵の女スパイ。主人公のヒロシを狙うが愛ゆえに組織を裏切る)のパクりなんだ」


マルぼん「ふうん」


ヒロシ「イボンヌには妹(ヒロシに一目ぼれする)がいる。『ポツリヌス戦記』のヒロインには弟がいる。年下の家族がいるという設定はあきらかにパクり! 畜生。人様の脳内にあるネタまでパクりやがって。よし、苦情だ。裁判だ。弁護士呼んで!」


 ヒロシは電話をするため部屋を出て行きました。でも。


ヒロシ「『僕の脳を勝手に見るな』と訴えたんだけど、電話を切られた。おのれ人間どもめ」


マルぼん「仕方ないよ。21世紀では脳内までには著作権は認められないし」


ヒロシ「そこなんだよ。どうせあるんだろ。法律とか、自由に決めることができる機密道具」


マルぼん「ねえ。そんなものねえ。でも…」


ヒロシ「でも?」


マルぼん「未来の世界は尋常じゃないくらい著作権が重要視されているんだ。それこそ、脳内の考えまでに著作権が発生する」


ヒロシ「おおっ」


マルぼん「未来の世界の国籍を取得すれば、21世紀の人の脳内にも著作権が発生する。マルぼん、それなりのコネがあるから、ヒロシくんにも未来の世界の国籍をあげることができるけど」


ヒロシ「是非に!」


 こうしてヒロシは、未来の世界の国籍をゲットしたのです。


ヒロシ「これで僕は絶対無敵で元気爆発で熱血最強。そして絶対勝利だっ」 


警官「こんにちは未来京都府警です」


ヒロシ「はい?」


警官「あなたの人生は、未来の世界の権藤正和氏の人生と酷似しています。これは著作権法違反ですので、署のほうでお話を」


マルぼん「未来の世界の著作権はすんごいから。脳内の他、人生とか生き様にも著作権が発生するんだ。ヒロシくんの人生、だれかの人生のパクりと認定されたようだね」


警官「未来では著作権法はすんごいからね。きみ、30年はシャバに出られないよ。下手したら13階段だからね」

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