卑怯! ナウマン象の必殺技

ついに雌雄を決する時が来た、ヒロシとナウマン象。



ヒロシ「我はオマエを倒して微笑町の頂点に立つ」



ナウマン象「ほざけ蛆虫。貴様ごときが俺に勝てるものかよ。俺の必殺技をみせてやるよ!」



 そう言うとナウマン象、口から巨大な卵を吐き出しました。卵が割れ、中からでてきたのは、もう1人のナウマン象。しかも裸。生まれたままの姿。『マルぼんと暮らす』が皆様に送るサービスシーン。



ナウマン象(2代目)「オンギャーオンギャーヒロシコロス。オンギャーオンギャヒロシコロス」



ヒロシ「これじゃ、2対1じゃないか! 卑怯だぞ!」



ナウマン象(2代目)「卑怯もラッキョウもあるものか!」



 こうしてヒロシは2人のナウマン象にちぎっては投げられ、ちぎっては投げられしたのでした。


ヒロシ「マルぼん、くやしいよ! 1対1で負けたのならいいけど、1対2で負けるなんて! 僕はもう一度ナウマン象の戦いを挑み差し違えるつもりだけど、なんとか1対1で戦いたい! よい機密道具はない!?」



マルぼん「『対戦人数調整機』。戦闘のときに戦う相手の数を自由に変えることができる機械なんだ。たとえば戦う相手が100人いるときも、この機械に『対戦相手は1人』と入力すれば、99人が消え、100人の敵が1人になる(戦うことになる1人は、100人の中で一番エライやつ)」



ヒロシ「戦う相手が元々1人しかいないときに、『対戦相手は100人』と入力したらどうなるの?」



マルぼん「1人が100人に増殖する」



ヒロシ「気持ち悪いな。でも、この機械さえあれば、増殖技を使うナウマン象も怖くないぞ」



 そんなわけで、ナウマン象に再度挑むことにしたヒロシ。ナウマン象を体育館裏に呼び出します。ナウマン象はまたも卵を吐き、ナウマン象(2代目)が誕生しますが、卵からでた瞬間、ナウマン象(2代目)はその姿を消してしまいました。すでに『対戦人数調整機』に「1人」と入力しているのです。



ナウマン象「ちくしょう。たとえ1人でも、俺はやってやるぜ」



ヒロシ「かかってこいやー!」



 1人になったナウマン象ですが、さすがはガキ大将。ヒロシを圧倒します。



ヒロシ「殺される殺される! このままでは殺される!  あ、そうだ!」



 ヒロシは『対戦人数調整機』にすがりつくと、『対戦相手は0人』と入力しました。消滅するナウマン象。



ヒロシ「やったぜヒロシ大勝利」



マルぼん「対戦相手が0になっただけだから、勝ってないよ」



ヒロシ「相手がいないんだから、勝ったも同じさ。そういえば、この道具の力で消えたやつはいつ帰ってくるの」



マルぼん「帰ってこないよ。消えたやつはそのまま消滅。この世のものではなくなる」



ナウマン象の母「ナウマン象、どこ? はやく帰ってきておくれー!!」



 かえらぬ息子をさがす、ナウマン象のおふくろ。



ヒロシ「ぼ、僕は。僕は。べつに本当にナウマン象を消滅させるつもりは、つもりなんか」



ナウマン象『ヒロシィ』



ヒロシ「ナウマン象!? マルぼん、消滅したはずのナウマン象が、目の前にいるよ」



マルぼん「誰もいないよ。君にしか見えないんじゃないの」



ナウマン象『ヒロシィ。ここは暗いよ。苦しいよ。寒いよ』



ヒロシ「するとこいつはナウマン象の霊!? ひぃ! ひぃ!」



ナウマン象『おまえのせいで、おまえのせいで、おまえのせいで、おまえのせいで』



ヒロシ「来るな、来るな、近づくな! 僕に近づくなぁ!」



 迫り来るナウマン象の霊に殴ったり蹴ったりするヒロシ。周りにはヒロシが見えないなにかを相手に殴ったり蹴ったりしているようにしか見えません。



 マルぼんは、この戦いをきちんと1対霊にした『対戦人数調整機』の効果は絶大だと思いました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る