12

小学生の頃

キャンプでの出来事。


山の中のキャンプ場でテントを張って

夜にキャンプファイヤーをした。

その時のゲームで

各自60秒数えて手をあげるというのをやった。

ピッタリ60秒を競うゲームだ。

キャンプファイヤーを囲んで円になり

隣の人とはわりと距離をおいて立っていた。

心の中で60秒数え終える頃




「60秒」




耳元で低い男の声がした。





全身の毛が逆立ったんじゃないかというくらいものすごい寒気に襲われて

一瞬固まった。

振り返っても誰もいない。

暗闇が広がっているだけだった。


思い出して手をあげた。

もう、数秒過ぎているだろうけど。



「はい、では60秒に一番近い人を発表します。え?あ、はい…わかりました。もう時間なので解散します。気をつけて帰ってください」




結局、誰が近いのか分からず終わった。

イタズラだったのか?

みんな静かに数えていたので

キャンプファイヤーのパチパチと燃える音以外聞こえなかったし

砂地で足音をたてずに耳元までくるのは難しいと思う。

息づかいが分かりそうなくらい耳元だったけど、息はかからなかった。


だけど

なんで60秒を教えてくれたんだろ?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る