31 下卑た振る舞い

周りに人がいるようなところで、つばきを吐きたくなった時には、口を塞ぎ、座席を背いて、畳紙たとうがみに吐き入れるべきだ。唾を遠くに吐き飛ばすなどということは、人を憚らぬ仕儀にて、悪いことだ。

何事につけても、下卑た振る舞いをしてはならない。そんなことをすれば、いよいよ人に軽んじられるだろう。声高く笑い、或いは膝を常に掻き上げ、不真面目に戯れるなど、決してやってはならない。目ざとい人は、なんともいいようもなく、あさましいことだと思うだろう。このようなことを心得えて振る舞うのが若大人わかおとなと言うのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る