明日、生きていれば奇跡である。

夕凪月花

第1話 死んだって構わない

また、死ねなかった。

もう自傷行為が趣味になり始めてる今日この頃。最近は寝る前の首絞めにハマっている。手で絞めたり、コードや紐、タオルで絞めてみたり。意識が飛ぶ感覚がとても好きなのだ。


私が何故、毎日のように死にたいかというと将来に希望が見えないから。事情により全日制高校中退。ちゃんとした高校を出なければ安定した職業には就く事が出来ない。母さんも父さんも泣いていた。一人娘の私がここまで落ちぶれてしまったからだろう。私が自傷行為を始めたのはそれからだった。それまではちゃんといい子を演じてそれなりにやってきたんだけどね。最初はほんの出来心だった。死ぬにはどんな痛みを味わえばいいのだろうかという。それが案外楽しくてハマってしまったのだ。


両親にはバレていないはずだ。外に出ないため季節を問わず長袖を着ているから、リスカやアムカの傷もバレない。1人部屋だから首を絞める時もバレない。死ぬ時は皆孤独で1人なんだなとその時実感した。


今日も私は首を絞める。今日こそ死ねるようにと願いながら。来世はきっともっといい子で生まれるからさ、死なせてよ。


「っ……は、ぁ……あ゛っ……」


手で強く絞めてもいつものように意識を失わない、おかしい何故だ。更に力を込める。意識が飛ばない。顔に血が集まる感覚と気管に空気が供給されない現実。強く絞めすぎたかもしれない。これ、死ぬんじゃない?と思った頃にはもう遅かったようだ。

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