笑顔の花

@namekun

私はいわゆる売れ残りだった


「私にはいつになったら王子様が現れるんだろう」

そんなことを考えながらぼーっと空を眺めていた


そんなある日

彼との出会いは突然だった


彼は私を選んでくれた、嬉しかった

今日から彼の家に住むことになった


一緒に住んでわかった


私はなにもできない


彼は毎朝カーテンを開けてくれた

彼はベッドを変えてくれた

枯れかけた私に水をくれる

オアシスのような存在になっていた


日光は大事

当たりすぎるのは良くないが 

暗い所にいては根が腐ってしまう


寝床は大事

私はほとんどの時間を寝床で過ごすが 

寝床が悪ければ体調を崩してしまう


水は大事

水がなくなっては生きていけない 

多すぎてもダメになる




私は動くことができない


自ら彼に触れることができない


一人では生きることすらままならない


彼は私の身の回りを全て世話してくれた



嬉しかった ありがたかった

でもそれと同時に 

なにもできない自分が

悔しかった 苦しかった


もうしわけなかった


私はこのままいずれ枯れ朽ちていくのを

待っていることしかできない


彼に喜んで欲しかった


私をもらってくれてありがとう


満開の笑顔で彼に微笑みかけた



彼は嬉しそうに笑ってくれた。

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