僕の恋は雨模様
有形結
第1話
「好きです、付き合ってください(笑)」
初めて幼なじみに告白されたのは、高二の夏だっただろうか。
暑い期末テストが終わり、安いアイスで涼んでいた時だった。その時は、何の前触れもなく訪れた。
「ごめんね。俺、カノジョ(2次元)いるから。」
「ですよねー!カノジョとはオシアワセデスカー?」
「幸せですよー!」
何気ない、冗談のごくある日常の一つだった、と高校生の俺はそう思った。彼女はその後、先輩と付き合い始め、ホッとしたのを覚えてる。明るくてショートカットの彼女は皆から祝福され愛されていた。
大学は先輩を追っかけていったらしい。俺と再会したのは高校を卒業してから10年が経っていた。
「最初、誰だか分かんなかったでしょ。」
「うんまぁ。」
髪を伸ばし大人になっていた彼女は、お酒を啜る。
お互いの行き着けの居酒屋で再会したのは驚いた。それから俺達は特に約束するでなく気が向いたら飲みに行く、そういう関係になっていった。
「...でもねー、いくら言ってもお母さんがねー『いい歳だから結婚しろ』ってうるさくて~『見合いしろ』って、恋愛感情無いのに結婚できるわけじゃないじゃん。」
「ハイハイ。」
「この間別れたばっかなのに無理じゃん〜。だから、この際君でもいいかなーって。」
「この際ってwww」
「だって~君彼女いないじゃん〜。うぅっ、ごしょうだ〜ごしょうだから付き合ってよ〜。」
「ハイハイ、酔っ払いの戯れ言は効かないよ。第一、君恋愛結婚派だろ?タクシー手配しとくから早く帰った、お前のかーちゃん心配してっぞ。」
彼女はトロンとしながらも、「らぁめ?」と目を見据えてきた。その目には弱い、っと知っていながらも憂いを含ませながら話している。俺は、心が揺すぶられながらも「ダメだ、未来の旦那さんが誤解したらどうする。」と分からないふりをした。
彼女が見合いを受けたのはそれから10日後の事だった。
ゴーンゴーン。
近くの教会の鐘がなる。
あれから、彼女とは会っていない。連絡手段は葉書だけになった。年に一回近状を伝え合う、そんな知り合いだ。今年、彼女から『明けましておめでとうございます、2年間付き合ってた彼と結婚しました。あの時は色々とありがとう(^-^)』と白いドレスの女性がそこに居た。それを思い出して苦笑いしていると、
「ねぇ、どうしたの?何考えてるの?」
と女性が聞いてくる。
「ん?君のこと。それで式場は何処にするか決めた?」
俺は自分に小さな嘘をついた。
僕の恋は雨模様 有形結 @Mamuponi
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