第2話:エンディング01
◆バックトラック
GM:このお時間が来たわけですが。
美裂:2話どれだけ濃度高いのよ……まだラスボス残ってるとか……。
イワン:ひとつ質問。さっきの「記憶探索者」でふたつあるタイタスのロイスどっちかを、通常ロイスに戻して良いんですか。
GM:いいって言ったよ。
イワン:それでは支部長のロイスを。これで侵蝕率155%、残存ロイス5個。
アンゲリーナ:侵蝕率135%、残りロイス3つです。
美裂:侵蝕率132%、残存ロイス4個。
マリアンナ:146%、残存ロイス5。
全員、侵蝕率は高かったもののEロイスで程よく下がり、特に何事もなく全員等倍振りでバックトラックに成功した。
1話のときのマリアンナのような悲劇が起こらず、GMはほっとしたという。
GM:さて、このままエンディングに入ってもいいですか?
一同:(異口同音に)OK!
◆ Ending01/Scene Player――武蔵美裂 ◆
紆余曲折あったものの、美裂たちは”マインドジャマー”を無力化するという当初の作戦目的を達成した。
帰還した美裂たちは、イワンをただちに病院へ搬送。
その後、支部へ戻りレーラ評議員に作戦中の経緯を報告する運びとなった。
レーラ:「……なるほど。”マインドジャマー”の破壊と民間人の救出。素晴らしい結果だけど、喜んではいられない状況ね」
美裂:「えぇ、全くです。イワンも突然……彼は大丈夫なんでしょうか」
レーラ:「イワンに関しては、こちらで手を打っておいたわ。正直、あんまり頼りたい相手じゃなかったけど」
美裂:「ありがとうございます……。ベラちゃんについても、レーラ評議員が案を出して頂いたと聞いています。感謝しています」
レーラ:「あそこで助けるな、見捨てろ、なーんて言ってもあなたたちは最後まで助けようとするでしょうに」
はぁ、と溜息をひとつ零す。
レーラ:「だったら、少しでも成功率の高いアイデアを出したほうがいい。それだけよ」
美裂:「あはは、やっぱり私たちのことよくわかってらっしゃる……。でもこっち側へ引き込んでしまったのはちょっと申し訳ないですよね。
あ、えっと、別にレーラ評議員を責めてるわけじゃなくて……その……」
レーラ:「わかってるわかってる。まあ、確かにあの子の進退は気になるわね。できれば、自分の意志で決めてほしいけど」
美裂:「出来る限り彼女の力にはなってあげたいですね。あんなことがあったわけですし心配です……」
”ゾーン”の一件が片付いたとき、避難民のオーヴァードはロシアの政府機関が引き取るか、それともUGNが保護するか。前々から議題になっていた問題だ。
ロシア政府は、避難キャンプにいる住人の殆どは自国民であり、保護と援助は国の責務――と申し述べている。
しかしクリミアの問題などを抱えるロシアが、そうして引き取ったオーヴァードを兵士として徴用するのではないかという危惧も当然ある。
この件は両者とも譲らず、基本的には「本人の意志を尊重」ということになっているが、水面下では引き抜き工作が行われている。
レーラ:「……そうね。そのときは武蔵、相談に乗ってあげてね。私も力になるから」
美裂:「もし……政府もUGNも引き取りを拒否してしまったら、あの子たちはどうなってしまうんでしょうか」
レーラ:「オーヴァードは貴重だし、そんなことには多分ならないと思うけど――……政府とUGNのくだらない揉め事に子供を巻き込んでしまう可能性は、否定できないわね」
美裂:「…………」
それを聞いて、美裂は考え込むように少し視線を落とす。
レーラ:「ま、もし厄介なことになりそうなら……武蔵、彼女を日本へ連れていってあげなさい。霧谷には、話しておく」
美裂:「……レーラ評議員はなんでもお見通しなんですね。思ってたこと先に言われちゃうんですもん。
喜んで連れていかせてもらいます。あの子勉強も何もかも筋がいいんですもん。きっといい子に育ちます」
レーラ:「まっ、いずれにせよ先の話ね。RZを巡る作戦は最終段階を迎えつつある。
武蔵、あなたもノビンスク支部長としてそれに臨まなければならない」
美裂:「えぇ、わかってます。ニコライ支部長の遺志もありますし……私自身も、守らなきゃいけないものができましたから」
休憩を取るようにレーラに言われ、一礼して美裂は執務室を後にする。
扉を閉めて数歩進んだところで、振り返って執務室のプレートを仰ぐ。最初に来たときから変わらない、飾り気のない白いオフィスプレート。
(ニコライ支部長……あなたは市民を最後まで守り抜いて命を燃やした。そして今、あなたの心臓はあの子の中でしっかりと生きています。
娘さんも精一杯、このノビンスク市を守るために頑張ってます。やっぱり、あなたは……)
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