第2話:ミドルフェイズ05/マスターシーン

◆ Middle05/Master Scene ◆



 UGNノビンスク支部の執務室。美裂が作戦に出払って不在の今、この場所ではレーラが代理で指揮を執っている。

 執務机の上には有線電話が設置されており、レーラは受話器を持ちながら神妙な表情で話を伺っていた。



レーラ:「――で、被害状況は?」

ロシア軍士官(GM):「負傷者が五人。死者はいませんが、精神防護ヘルメットを奪われたため、救護部隊は出撃不可能です」

レーラ:「そう。情報を作戦部隊に回すと共に、念のため避難キャンプの警備を強化しておきなさい」

ロシア軍士官:「Да Давайはっ、直ちに!」


 有線電話の受話器を置いて各部署への指示を出しながら、レーラは考える。

 報告によれば、軍の部隊を襲ったのは見た目十代前半の少女で、細身の大剣を担いでいたという。

 その他、子細な容姿の情報を詰めていくと――浮かび上がったのは、


レーラ:「……”始末屋”か」


 FHの”始末屋”。マスタークラスに匹敵する実力の持ち主。

 だが――なぜ?

 記憶が正しければ、彼女は目的意識を持った仕事人だ。ふらりと何の意味もなくこの街に来た可能性は低い。


レーラ:「彼女は、RZの中層へ行こうとしている……?」


 奪われた精神防護ヘルメットの存在が、その推理を裏付ける。

 もしそうだとするならば、彼女の狙いは――。


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