第1話:ミドルフェイズ11

◆ Middle11/Scene Player――マリアンナ ◆



 そこは、総合市場ルィノクの跡地だった。

 ソ連崩壊後に台頭した民営大型スーパーマーケットを囲むように露店が立ち並び、往時は街の台所として盛況だったことは想像に難くない。

 しかし今となっては、鮮やかな色合いだった露店の天幕は擦り切れて色褪せ、放置され黒ずんだ商品が異臭を放つ。

 あるべきはずの人の賑わいが失われたそこには、廃墟の遊園地にも似た不気味さが漂っている――。



マリアンナ:では、私はエリア③へ出陣するわ。(登場侵蝕ダイスロール)1点、いいわね。

イワン:マリアンナさんの後に着いて行く形にしましょう。(ダイスロール)こっちは8点。なんという差でしょうか。

GM:さて、キミたちが訪れたのは市場の跡地だね。廃墟となった大きなスーパーマーケットを中心に、放置された露店が並んでいる。ここは外部からの侵入を防ぐために、エリア②に繋がる道以外は発破されたりして封鎖されている状態だ。このエリアでは、情報収集判定ができるよ。


 そう言ってGMが提示した情報収集項目は「スーパーマーケット跡地」「エリアの調査」のふたつ。

 それぞれ情報系の技能か<知覚>で判定できるようになっていた。


イワン:エリア調査は私がやりましょう。マリアンナさんはスーパー跡地をお願いします。

GM:技能は?

イワン:<情報:軍事>で。《生き字引》を使って……とりゃー。

GM:ぴったり成功。さて、わかったのはこんな内容だ。(メモを表示する)


▼「エリアの調査」

 北部に非常に小さな抜け穴がある。何者かが通過した形跡もあった。

 この穴を通るには、特殊なエフェクトが必要だろう。

(ここから別の場所へ行くには《鍵いらずの歩み》のようなエフェクトが必要。使用エフェクト、利用方法などをGMに相談すること)


GM:ということで、エリア③からはどこか別の場所に繋がる狭隘きょうあいな通路があるようだね。

イワン:なるほど。

GM:次はマリアンナどうぞ。

マリアンナ:では、項目:スーパーマーケット跡地に挑戦。技能は知覚で。純粋なダイス目勝負ね。(ダイスロール)……9。成功。

イワン:えらい。

GM:はい、こちらも情報開示。


▼「スーパーマーケット跡地」

 スーパーの跡地の一角に、食料の食べかすなどがあった。

 イージーオープン缶が側面から無理矢理こじ開けられた形跡もあり、ジャームの行いだと推測される。

 なお、食べかすの状態を見るに、肉類を好むようだ。


GM:エリア3はこれで全部だね。演出などがあればどうぞ。

イワン:「マリアンナさん、何処かに通じそうな穴を見付けました。そちらは何か、見つけましたか?」

マリアンナ:「……あれよ」


 マリアンナが眉をしかめて指差す先には、無残なコルバサソーセージの食べかすが床に散っている。

 その近くにあるわずかに赤身が入った白い塊の破片は、サーラ豚の脂身の塩漬けの屑だろうか。ジャームのくせにえり好みとはね、とマリアンナは心中で毒づく。


マリアンナ:「どれもこれも肉類ばっかり……飢餓衝動のジャームというのは間違いなさそうね」

イワン:「なるほど、この近辺を良く行き来している、と。あの穴を頻繁に使用していると仮定すれば、エグザイルの可能性が高いでしょうか」

マリアンナ:「そうね。肉類の缶詰めでも持っていけばおびき寄せる事もできそうよ?」

イワン:「残っているんですか?」

マリアンナ:「どうでしょ? 見た限りはあらかた食べつくされてるから、どこかで用意した方が得策かもね」

イワン:「一度戻る事も考えなくちゃいけない、と。ひとまず、調査はこんな所でしょうか」

マリアンナ:「ええ、そうね。一度戻りましょう」



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