ハンドアウト配布

 ダブルクロスでは、PCたちが活動するシナリオの舞台を「ステージ」という概念で扱っている。多くの場合、ダブルクロスで遊ばれるステージはほんの少しだけ近未来の現代日本だ。

 しかし、このキャンペーンの舞台はロシア。ステージはその一地方都市のノビンスク市という場所だ。私は、資料を提示しながら説明を行うことにした。


GM:まず、トレーラーにもあるように、このキャンペーンではロシア西部の地方都市、ノビンスクがステージとなるわけだが……この地では、ある重大な問題が発生している。

misto:ある問題?

GM:20XX年、ノビンスク市では高濃度レネゲイド領域――レネゲイド・ゾーン――が発生して、それが外部へ向かって今もなお拡大し続けている。この領域に進入した者はただちにオーヴァードに覚醒するか、ジャーム化するという危険地帯だ。通称はRZ、もしくはゾーン。

さかな:街の人はどうなってるの?

GM:RZ発生から間もなく、軍とUGNが避難させてる。でも、取り残されてオーヴァードやジャームになっている人も大勢いる。前者は国が作った避難キャンプで生活できるけれど、後者は……”今も街中をさまよっている”。

くるみ:Oh……。

GM:ジャームたちを封じ込めるため、UGNと軍はノビンスク市を完全に封鎖。解決策を探っているが……とある事情により、探査が進んでいない。

イズミユキ:ある事情?

GM:それは、ハンドアウトと一緒に語っていこう。では、まずPC1から。



●PC①用ハンドアウト

ロイス:自分の記憶 推奨感情 P:任意/N:任意

カヴァー/ワークス:指定なし/UGN系ワークス、FH系ワークス、RB以外


 ――キミは、目覚めるとUGNノビンスク市支部にいた。

 事情聴取を受けるが、生憎とキミには数年前からの記憶がなく、何故ノビンスク市にいたかも定かでない。

 しかし、どういう経緯で得たかは不明だが、キミには”力”があり……

そして、高濃度レネゲイド領域――レネゲイド・ゾーンの深部にまで到達していた痕跡があった。

 そんなキミに対し、UGNが協力を持ちかけるのは当然の帰結と言え――キミは、それを承諾した。

 ……失った記憶の手がかりを得られるかもしれない、という淡い願いを抱きながら。



GM:RZは、これまでの探査記録から4つの層に分類されている。

外縁層、表層、中層、深層だ。このうち、外縁層はRZの影響下にない周辺地帯のこと。表層は軍とUGNによって封鎖網が敷かれている前線地帯。中層以降は”あるもの”に阻まれてまったく探査ができていない。

イズミユキ:そんな状態で深層から来た記憶喪失のPC1……怪しいですね。

GM:とても怪しい。さて、お次はそんなPC1と最初に接触するPC2のハンドアウトだ。



●PC②用ハンドアウト

ロイス:PC① 推奨感情 P:任意/N:任意

カヴァー/ワークス:UGNエージェント/FHエージェントもしくはFHチルドレン


 ――封鎖された街、ノビンスク。そのUGN支部には、FHから寝返った”裏切り者”がいる。それがキミだ。

 ノビンスク支部が抱える問題は非常に厄介で――しかも常に異常現象や危険と隣り合わせ。

 ある意味、”裏切り者ダブルクロス”には、最も適した任地かもしれない。

 そしてその日、警邏けいらを行っていたキミの眼前でRZ特有の異常現象が生じ――キミは、気絶したPC①を見つける。



GM:PC2は、FHからUGNに鞍替えした裏切り者ダブルクロスだ。

misto:ふむ……FHキャラクターは中々できないので気になりますね。どんな事情があってこんなところに?

GM:それは追々明らかになるだろう。次はPC3だ。



●PC③用ハンドアウト

ロイス:レーラ・リトヴァク 推奨感情 P:任意/N:任意

カヴァー/ワークス:指定なし/UGN支部長


 キミは、ノビンスク市のUGN支部長だ。この支部の最重要目標は、RZの封じ込め、そして消滅である。

 RZの内部は高濃度のレネゲイドに満たされており、一般人が侵入すればほぼ確実に覚醒するか、ジャーム化に至る。

 UGNも軍も、この領域を調査しようと試みていたが、RZ中層以降にはオーヴァードにも精神ダメージを与える”何か”――マインドジャマーと呼称――が存在し、長期の滞在は廃人化もしくはジャーム化に直結するため、難渋していた。

 そんなキミのもとに、RZの深層部にいた痕跡を持つ人物が”転移”してきたという驚きの報告がもたらされる。

 キミは、RZの手がかりを得るため、レーラ評議員を交えてPC①に事情を話し、協力を要請することにした。


さかな:なるほど、中層以降の探索は、マインドジャマーと呼ばれるものに阻まれていると。……評議員ということは、レーラはアクシズ?


 中枢評議会――通称アクシズ。

 UGNの最高意思決定機関であり、12人の評議員による合議制で運営される。


GM:その通り。しかも、資料にもあるけどレーラはロシア連邦軍の軍籍と中佐の階級を持つ、現役の軍人だ。ロシア政府の後押しを受けて評議員に就任している。……ただし、彼女自身は真摯にレネゲイドと世界の在り方を考える人物で、軍を贔屓していたりはしない。UGN側も抵抗して、ロシア政府のイエスマンではなく、まともな人物を迎え入れたわけだ。



●PC④用ハンドアウト

ロイス:ベロニカ・セーロヴァ 推奨感情 P:任意/N:任意

カヴァー/ワークス:指定なし/傭兵、刑事、その他(応相談)


キミは、UGNに協力するイリーガルのオーヴァードだ。1ヶ月前、ノビンスク支部に合流したばかりの新顔である。

突如出現したRZによって、未だに多数の人間が避難キャンプに隔離されている。

キミと仲の良い少女のベロニカも、避難キャンプで生活する一人だ。両親を失い、不便な環境下で暮らしている。

「この痛ましい事態の早期解決」こそがキミの協力する理由であり、動力源だ。



GM:最後はUGNイリーガルとしてノビンスク支部に協力するハンドアウトだ。避難中の少女、ベロニカと深い関りがある。

イズミユキ:どんな子なんですか?

GM:年の頃は12~13歳。鳶色の髪に、翡翠色の瞳。活発そうな東欧系の少女だ。――以上でHOの配布と紹介は終わり。さあ、どのHOを選ぶか決定しようか。


 話し合いの末、HOは決定し、その場は解散してキャラクターを作成する運びとなった。

 次からは、キャラクター紹介になります。


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