最初にして最後のエリアへ

「終わりましたわ、ハナノ様。あなた様の依頼は全て」

 ヴァイスがハナノに対し、5, 6, 7, 8番エリアのH型を殲滅せんめつしたことを伝える。

「依頼?」

「そう言えば、龍野君には見せていなかったわね。はい、これ」

 ヴァイスがポケットから、「ハナノより差し出されたメモ書き」を提示する。

「どういう意味だ? まさか、さっきまでの黄色い機体のことか?」

「正解よ、龍野君」

 ヴァイスは返答を手短に告げると、ハナノに向き直った。

「あなた様からの一宿一飯のご恩は忘れませんが、これ以上お付き合いを強いる訳にはございません」

「そうですか。しかし私は、それでもあなた方に付き合わせていただきます」

「ハナノさん、それは――」

 龍野が割り込もうとしたが、ヴァイスが止めた。

『龍野君。まだ、待ってちょうだい』

『あ、ああ。そうだな、焦ってたぜ』

「わかりました、ハナノ様。して、理由を教えていただけますでしょうか?」

 ヴァイスが念話を終え、ハナノの言葉を引き出しにかかる。


「私は、この九つの島より脱出したいのです。あなた方に導いていただいた上で」


「わかりましたわ。そのための助力を、私達に、と?」

「ええ。しかし、出来うる限りの手助けはさせていただきます。それが、あなた方についていただかせている身の、出来ることですから」

 ハナノは力強く話す。

「わかりました、ハナノさん」

 次の言葉を話したのは、意外にも龍野だ。

「では、最後までお付き合い願いますよ」

「うふふ。全てが終わりましたら、“安全な場所”にご案内いたしますわ(私達の居城という、安全な場所に、ね)」

「ありがとうございます」

 ハナノは深々と頭を下げ、感謝の言葉を述べた。


「ではお二方、準備が整いましたらお乗りくださいませ」


「ええ!」

「はい!」

 二人がハナノの車に乗り込み、ドアを閉める。


 発進した車は、やがて0番エリアのビル群に紛れていった。



現在の龍野の撃破スコア……35体(35,000点)

※戦闘が無いため、変動無し



作者による追伸


 有原です。

 16日の投稿は、これで終わりといたします。

 続きは、様子を見ながら執筆したいと思います。

 それでは、今回はこれにて!

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