燃える町での決戦 2
リアラ、エレナ、ディンの三人同時攻撃で爆発が起き大きく煙が舞う。
流石に翼竜族のレナでもただではすまないな筈だ。
「………やったか?」
「おいぃぃぃ!!」
「あ?どうかしたか?」
「お前このタイミングでその発言はダメだ!」
その発言は所謂『生存フラグ』だ。
この発言一つで相手の生存率は九割を超える。この場合発言したのはディンなのでその相手であるレナが死んでいる可能性はかなり低くなっているので恐らくまだ生きているだろう。
「ハァ……ハァ……久しぶりね、これだけ私を追い詰めたのは……」
「嘘!?」
「あの総攻撃を受けても尚生きているなんて……!」
「チッ……しぶとい野郎だ!!」
「……やっぱりこうなるか」
俺以外の三人はレナがまだ生きていることに驚いていたが俺自身はなんとなくこの展開が予想できたため大して驚かなかった。
「翼が斬られたくらいで何も出来なくなる私ではない!」
「来るぞ、油断するな!!」
「言われずとも!」
そして再び俺達四人は戦闘態勢に入る。ディンは予備であるもう一本の槍を、エレナは元々持っていた短剣に加えもう一本の短剣と合わせて構える。
リアラはいつでも魔法が打てるように準備をし、俺はさっき創造した刀を構える。
だが、さっきの総攻撃の際に起動スキルを使ってしまったエレナは辛うじて立っているので激しく動くことは難しいだろう。
「『瞬歩』!!」
レナがそう言った瞬間に翼があった時程ではないが、かなりのスピードで間合いを詰めてきた。
「なっ!?」
翼を無くしたのに速く動けるレナを目にしてエレナは驚きの声をあげる。
「私の鉤爪で切り裂かれなさい!」
レナの鉤爪が目の前にいる俺を切り裂かんと振り下ろされる。
そしてその攻撃が俺に見事に命中………することは無かった。
俺は持っていた刀でレナの攻撃を受け止めた。
「私のこれも見切るとは中々やるわね」
「褒められても嬉しくないな。それよりお前、俺の
「今の私の鉤爪は魔力で翼以上の強化がされているのよ?翼を斬っただけの剣ではこの鉤爪を斬ることは出来ない——」
「それがどうした」
俺は刀の刃を鉤爪に向けて突きの構えをすると同時に鉤爪を避けるように足を捌き、レナがバランスを崩した所を狙って刀の剣尖でレナの肩を突き刺す。そしてそのまま上に切り上げる。
「ガッ………!」
肩を斬られたレナは肩にある傷の止血をするために抑えて苦しそうな表情をする。
切れ味が凄いのと魔力による強化がされていなかったのか、特に斬りにくくもなく綺麗に斬ることが出来た。
「どうやら、その魔力による強化も体の全体には出来ないみたいだな」
自慢の鉤爪も肩を斬られれば満足に動かすことは困難だ。これでレナは速く動けても攻撃することはしないだろう。
そう思っていたが、レナの肩にある傷が普通ではありえない速度で回復していく。
「フン、この程度の傷なんてすぐに回復できるわ」
なるほど、自然治癒力が高いのか。道理で三人の同時攻撃でも倒れなかった訳だ。
しかし、これでは相手を倒すことは難しい。どれだけ斬っても傷を即座に回復する程の治癒力があるんじゃ埒が明かない。
だが、弱点はある筈だ。それさえ見つけることが出来たらレナを倒すことが出来る。
……鎌を掛けてみるか。
「どうやら、お前を一撃で仕留めさえすればその自然治癒は出来ないようだな」
「そうよ、私を一撃で……つまり、私の脳か心臓を破壊されない限り死ぬ事は無い。でも、貴方にそれが出来るかしら?」
最低限のヒントを聞き出せればよかったのだが、思った以上に話してくれた。まさかこんなに上手くいくなんてな。
「さっきのは攻撃をしに行ったから反撃されて傷を負った。だけど、この傷が完全に回復するまで私は逃げ回るだけでいい。だから、貴方が私に攻撃をすることは不k——」
「だったら、逃げる前に殺すだけだ」
グサッ……
レナが話している時に突如、ディンの声が聞こえたと思ったらレナの丁度心臓の辺りから槍の先が生えてきた。否、これは生えてきているのではない。ディンがレナの心臓を背後から突き刺したのだ。
「………え?」
レナ自身もこの攻撃には対応出来なかったようだ。
と言うより、背後にディンがいることに気付かなかったみたいだ。
「貴方……いつの間に……?」
「フッ、後ろを見てみな。」
ディンの言った通りレナはディンの後ろ見る。俺達もディンの後ろを見る。
「……それは………ッ!!」
そこにあったのは三人の同時攻撃の時にディンが投げた槍が刺さっているだけだった。レナは気付いたようだが……どういう事なんだ?
「貴方……まさか…テレポートを!?」
「その通りだ。ま、
……えーと……つまり、投げた槍に自分の魔力を混ぜてレナの丁度後ろにある時に自分の魔力が混ざった槍の所にテレポートをしてそのままもう一つの槍でレナの心臓を突き刺した、と。
レナが油断したところを狙う……不意打ちを狙ったわけだ。
音もなしに敵の背後に移動してすぐに心臓を突き刺すなんて、まるで暗殺者だな。
「フフ、完敗だわ」
「そして俺は勝った。約束通りここを襲った目的を教えてもらおうか」
俺達がレナと戦っていた理由は、魔物を分身させて大量の群れを作りこの町を襲った目的を聞き出すため。
これだけ魔物の群れを作って襲って来たんだ。ただ襲いたいから襲ったなんてふざけた目的ではないだろう。
「約束は約束。いいわ、教えて上げる。私が何故ここにいるのか、そして何故この町を襲ったのかをね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます